消灯後の病室で突然始まったライブ配信
当時はコロナ禍真っただ中で立ち会い出産は叶いませんでしたが、その日の夕方、無事に第1子を出産しました。処置を終えたあと、看護師さんに車椅子を押してもらい案内されたのは4人部屋。部屋にはすでに20代くらいのママ3人と赤ちゃんが入院していました。
私は初めての出産を終えて、心も体も限界でした。消灯時間となり、「これでようやく少し眠れる」と安堵したのもつかの間、隣のベッドからゴソゴソと物音が聞こえてきたのです。カーテン越しに明るい光が漏れ「何だろう?」と思っていると、突然、女性の元気いっぱいの大きな声が病室に響き渡りました。
「これからライブ配信始めまーす♡ 今日はなんと出産直後の様子をお届けします!みんな、応援ありがとう!」
配信用ライトが室内を照らし出し、静寂に包まれていた病室の空気は一変。驚いた赤ちゃんたちが次々と泣き出し、部屋はあっという間に大混乱となりました。
ナースコールで助けを求め、事態は沈静化
さらにその女性は「部屋はこんな感じでーす!」と言いながら、突然カーテンを開けて病室の様子まで撮影しようとしたのです。「これはさすがにまずい」と感じた私は、ナースコールを連打。小声で「すみません、同室の方がライブ配信を始めて困っています……」と助けを求めました。
すると、60代くらいのベテラン看護師さんがすぐに駆けつけてくれ、「ここは皆さんが体を休める場所です。今すぐやめてください。病室は撮影禁止です」と厳しく注意してくださいました。
女性は慌てて配信を終了し、その日のうちに別の病室へ移動することに。迅速に対応してくださった看護師さんのおかげで、ようやく静かな環境で休むことができ、心から救われました。
数日後の退院日、その女性が私たちの部屋の前に立っていました。「この度は大変身勝手な行動をしてしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪を受け、私は「産後で体を休めたかったので、周りを巻き込まないでほしかったです」と率直な思いを伝えました。
すると、それまで黙っていた同室のママたちも「本当にびっくりした」「赤ちゃんたちも泣きだして大変だったよね」と次々に声を上げ、女性はうつむきながら「すみませんでした」と小さく返答。部屋担当の看護師さんも、近くでこのやり取りを最後まで静かに見守ってくれました。
産後の病室は、お母さんも赤ちゃんも心身を十分に休めるための大切な場所です。人それぞれ喜びの表現はありますが、共同の病室では周りへの配慮が欠かせないと、この出来事を通して改めて痛感しました。また、困ったときにひとりで我慢せず、勇気を出して周囲に助けを求めることの大切さも実感した出来事でした。
著者:林いづみ/30代女性。2021年生まれと2025年生まれの娘、夫との4人暮らし。作業療法士として医療現場で7年間勤務後、出産を機に退職。現在は在宅で仕事に取り組んでいる。趣味はカメラで家族写真を撮影すること。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)
※AI生成画像を使用しています