母の善意が招いた大きな亀裂
わが家には、両親と兄夫婦、それに私たち夫婦が参加している家族のLINEグループがあります。ある日、そのグループから義姉が突然いなくなりました。
当時遠方に住み、年に一度帰る程度の私とは対照的に、兄たち家族は、実家から車で30分ほどの距離に住んでいて、以前は月に2〜3回ほど子どもを連れて遊びに行っていました。母も孫たちをかわいがっていて、義姉も嫌な顔ひとつせず良好な関係だった印象です。だからこそ、突然グループを抜けたことに私は強い違和感を覚えました。
普段から穏やかで、親戚付き合いもていねいだった義姉が無言で退出するなんて異常事態です。私は嫌な予感がして兄に理由を尋ねましたが、返信はありません。あとからわかったことですが、兄は義姉からの猛烈な抗議と母からの身勝手な愚痴の板挟みになり、完全に参っていたそうです。
数日後、父から知らされた原因は、母のあまりにも身勝手な行動でした。
その日、兄夫婦は用事のために息子たちを数時間だけ実家に預けていたそうです。ところが母は、兄夫婦に無断で自分の行きつけの美容室へ連れて行き、勝手に息子たちの髪を切ってもらったそうなのです。そこは70代の女性がひとりで営む、昔ながらの古い美容室でした。
実は義姉は、数週間後に息子2人の「七五三の前撮り」を予定していたそう。息子たちの髪型にもこだわりがあり、予約の取りにくいおしゃれなキッズサロンでカットしてもらう予定だったのです。母はそれを義姉から聞いていたのにも関わらず、独断で義姉の息子たちを昭和の「坊ちゃん刈り」のような髪型に……。変わり果てた子どもたちを見て、義姉は絶句し、帰宅後兄に「私の準備も努力も全部台無しにされた! お義母さんはいつも私の育児を馬鹿にしている。もう限界!」と涙ながらに猛抗議したそうです。
あとから知ったことですが、実はこれまでも母は、義姉が息子たちのために持参したお菓子を、義姉の制止を無視して食事の前にたくさん与えたり、「そんな小さいうちから習い事なんてかわいそう」と否定したりと、無神経な言動を繰り返していたのだとか。兄は「ほどほどにしてくれ」「こちらも考えがあってやってるんだ」と母に注意していたそうですが、見ていた父に「母さんに悪気はないから」となだめられ、強く出られなかったのだそう。
しかも母は反省するどころか「髪が暑苦しかったから、さっぱりさせてあげたの! 代金も私が出してあげたのに、なぜお嫁さんは怒るのか」と逆ギレ。しかし、兄から「妻(義姉)はもう実家には行きたくないって言ってる。子どもたちも『ばぁばに無理やり切られた。この髪型好きじゃない』って泣いててこっちも本当にしんどいんだ。七五三はこっちで済ませるからしばらく連絡しないでほしい」と電話で言われ、嫁だけでなく孫たちからも批判を浴びた母はさすがに傷心していました。父は「孫に会えなくなったのはお前のせいだ」と母を怒りましたが、母ばかりをかばっていた事実を兄に突きつけられ、父も反省することになったのでした。
それから約1年ほど経つと、兄と子どもたちは少しずつ実家に遊びに来るようになりましたが、義姉は以来5年、グループに戻ることもなく、一度も実家に顔を見せていません。
よかれと思った行動でも、親の許可なく子どもに関する判断をするのはよくないと私は思います。親族間であっても適切な距離感と境界線を大切にしなければ、関係は簡単に崩れてしまうのだと目の当たりにしました。
今回は私の知らないところで起きた出来事でしたが、もしまた母が配慮のない暴走をしそうになったと知ったときは、娘としてきちんと義姉の防波堤となろうと決めています。自分自身が無神経な言動で傷つけないよう気をつけるのはもちろん、家族が誰かを傷つけてしまわないよう、意識して見守る役目も大事だと感じた出来事でした。
著者:三枝美乃梨/30代・主婦。4歳の娘、2歳と1歳の息子の育児に明け暮れる母。休日は3人同時にお昼寝させた後、静かな部屋で夫とゆっくりコーヒーを飲むのがルーティン。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)