授乳室から出てきた女性に目を疑ったワケ
昨年の夏、1歳半の娘を連れて都内で買い物をしていたときのことです。立ち寄った商業施設はベビールームが評判で、私も利用するのを楽しみにしていました。
実際に入ってみると、おむつ替え台がいくつも並んでいて、調乳用のお湯や電子レンジ、個室の授乳室までそろっていました。想像していた以上に充実していて、「これなら安心して過ごせそう」とうれしくなったのを覚えています。
そのとき、授乳室のカーテンがひとつ閉まっていたので、「誰かが授乳中なんだな」と思い、順番を待つつもりでいました。
ところが、娘のおむつを替えていると、その授乳室から一人の女性が出てきたのです。見たところ、赤ちゃんを連れている様子はありません。「あれ?」と少し不思議に思いました。
女性はコンビニの袋から大きなお弁当を取り出して慣れた手つきで電子レンジに入れ、さらに持参したマイボトルに備え付けのお湯を注ぎ始めました。そして温め終わったお弁当を手に、再び授乳室の中へ入っていったのです。
授乳室は、赤ちゃんへの授乳やお世話のために用意された場所です。本当に必要としている人が使えなくなってしまうかもしれませんし、赤ちゃんが過ごすスペースでお弁当を広げて食事をすることにも、正直なところ抵抗がありました。
どうしようかとしばらく迷いましたが、思いきってお店の方に事情を伝え、声をかけてもらうことにしました。自分から直接注意する勇気はなかったのです。
しばらくして女性は授乳室から出てきましたが、私のほうを強い目つきでにらみ、そのまま立ち去っていきました。その表情に、思わず身がすくんでしまいました。
何より気になったのは、電子レンジやお湯を迷うことなく使い、当たり前のように授乳室へ戻っていったことです。あまりにも手慣れていたので、「普段からこうして利用しているのかもしれない」と考えてしまいました。
設備が整っていて快適な場所だからこそ、本当に必要としている親子が安心して使える状態であってほしい。あの日以来、ベビールームを利用するたびに、みんなが気持ちよく使える場所であるべきだということを、以前より少しだけ意識するようになりました。
著者:前川保奈美/30代女性/1歳半の娘を育てる母。元ネイリストで現在は専業主婦。趣味は野球観戦
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)
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