混雑したバスで聞こえた冷たい言葉
車内はちょうど混み合っていて空席がなく、私は、つり革につかまって立つことにしました。すると突然、私の前にいた、優先席に座っている男性から「妊婦ならタクシーを使ってくれよ」と吐き捨てるように言われてしまったのです。
思いもよらない言葉に驚き、私はどう返していいかわからず、その場で固まってしまいました。
ところが次の瞬間、横にいた数人の乗客の方が一斉に声を上げてくれたのです。
「今のはさすがにひどいです」
「優先席は妊婦さんのための席でもありますよ」
「言い過ぎじゃないですか」
さらに別の女性が「大丈夫ですか?」とやさしく声をかけながら、席を譲ってくださいました。思わず目頭が熱くなったのを覚えています。冷たい言葉を投げかけた男性は、気まずそうに黙り込んでしまいました。
あのとき周りの方がかばってくださらなかったら、私はしばらくバスに乗るのが怖くなっていたかもしれません。
この出来事を思い返すたびに「私も困っている人にそっと手を差し伸べられる人でありたい」と強く思うようになりました。
妊娠中は心身ともに余裕がなく、つい心細くなってしまいがちです。けれどあの体験のおかげで、人のやさしさを信じられるようになりました。子どもが生まれたら、誰かの力になる大切さを教えてあげたいと思っています。
著者:佐伯真美/30代女性/パート勤務。第1子妊娠中。好きなことは料理、アウトドア
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
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