「車に乗せて」
ある金曜日のことです。小学1年生の息子の習い事があるため、いつものように学校の近くまで車で迎えに行くと、息子の隣で手を振る男の子が。近所に住むAくんです。
息子が「じゃあ、僕これから習い事があるからまた明日!」と話すと、Aくんは「いいな! 僕も車で帰りたい。一緒に乗せて」と言いました。習い事があるから一緒に帰れないと断ると、不服そうに帰って行くAくん。
その翌週も、さらにその翌週も同じことがあり、「毎週金曜日は習い事があるから一緒に帰れないの」と伝えます。すると、Aくんは「いいよ! 僕も一緒に習い事の場所まで行ってあげる。だから一緒に車に乗せて」と言うではありませんか。
私は驚き「おうちの人の許可もないし、寄り道は良くないから」と伝えると、またもや不服そうに帰って行きました。
ついにママまで現れて
翌週の金曜日のことです。この日もいつものように学校の近くまで車で迎えに行くと、そこには息子とAくんだけでなく、なぜかAくんママもいました。
するとAくんが駆け寄ってきて私に「ママが、車に乗ってもいいって!」と言います。続けてAくんママが「こんにちは。今日たまたま私の用事が終わる時間とAの下校時間が重なったんです。いつもAが一緒に車で帰りたいのに、乗せてもらえなかったって言っています。おうちの人の許可がないとだめって言われるって。うちは全然大丈夫ですので、ぜひ一緒に乗せてください!」と言うのです。
突然のことに驚きつつも「習い事によそのお子さんを連れていくわけにはいかないので」ときっぱりお断りした私。すると、「じゃあ、息子さんと一緒の習い事をしたらいいですか?」とAくんママが言いました。この発言に言葉を失い、あまりの身勝手さにめまいがしそうになる私。
困り果てる私に息子が……!
習い事の時間が迫って焦っていると、思わぬ助っ人が登場しました。「じゃあ、もし事故が起きたら、Aくんママが僕のママの代わりに逮捕されてくれますか?」と言う声の主は、まさかの息子でした。
私がいつも、「お友だちを車に乗せているときに事故を起こしてけがをさせてしまったら、運転手のママが責任をとらないといけないんだ」と話していたのを覚えていたのでしょう。それを聞いたAくんママは「そんな、逮捕なんて……。そうよね、責任を押し付けたらだめよね」と言ってやっと納得し、Aくんを連れて帰りました。
息子からの思わぬ助け舟に感謝し「ありがとう。ママがいつも話していたことを覚えてくれていてうれしかったよ」と伝えた私。すると息子は「ママに家まで送ってって言うのも変だけど、習い事まで一緒に行くって言うのはもっと変だよね!」と笑っていました。それ以来、Aくんから車に乗せてほしいと言われることはありません。
わが家の車に乗るために、わざわざ同じ習い事をしようとするとは驚きましたが、息子のひと言で、自分勝手なお願いだったことにすぐ気づいてもらえたのは幸いでした。この出来事をきっかけに、息子にも無理なお願いをしないように伝えました。また、私自身も改めて気をつけようと思いました。
著者:立川りか/30代・ライター。7歳の男の子を育てるママ。息子の好きを全力で応援するため日々奮闘中。虫が大の苦手だが、息子の虫取りに付き合ってきたおかげで少しだけ耐性がついてきた。食後のデザートや週末の晩酌がご褒美。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています