笑顔で飛び出した結婚報告
その日は、部署のみんなで期末のお疲れランチをしていました。
仕事の話や雑談をしながら食事をしていると、A子がうれしそうな表情で、「私、結婚します!」と報告しました。
突然の知らせに、私たちもびっくり。「おめでとう!」と声をかけると、A子は結婚相手が隣の部署で働く男性だと明かしました。
その名前を聞いた瞬間、私は思わずドキッとしました。実は、以前からA子とその男性について社内で気になる噂が流れていたのです。
みんなの箸が止まったワケ
A子が結婚相手として名前を挙げた男性は、もともと既婚者でした。
彼がまだ結婚していたころから、A子との関係について社内で噂になることがあり、その後、男性は離婚。詳しい事情はわかりませんが、2人の関係と離婚を結び付けて考える人も少なくありませんでした。
そして今回、A子が結婚相手として告げたのは、まさにその男性だったのです。
私は思わず、「もしかして、あの噂って本当だったのかな……」と考えてしまいました。ふと周囲を見ると、ほかの人たちも同じことを思ったのか、それまで動いていた箸が止まり、テーブルは一瞬、しんと静まり返りました。
もちろん、誰かがA子を責めたり、嫌な言葉をかけたりしたわけではありません。ただ、以前から噂を耳にしていたこともあり、みんな一瞬どう反応すればいいのかわからなくなってしまったようでした。
後になって同僚同士で、「あの場、どう反応すればよかったんだろうね」と話したほど、なんとも言えない空気が残った出来事でした。
結婚報告は本来おめでたいものですが、周囲がそれまで耳にしていた話によって、その場の空気が思わぬものになることもあるのだと感じました。
もちろん、噂だけでは本当のことはわかりません。それでもあのときは、誰もすぐに言葉を返せず、みんなの箸が止まったことを今でも覚えています。
著者:杉浦咲子/40代女性・女子中学生の母。フリーランスの語学講師で趣味は海外旅行と映画鑑賞。
イラスト:マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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