スマホばかりの夫を変えたのは?
仲のいい友人家族と、大きな公園へ出かけた日のことです。友人家族には3歳の息子Aくんがいて、2歳の娘はAくんと遊ぶのに夢中。ほほえましい光景に、友人と「楽しそうでよかったね」と話していました。友人の年下の夫は子どもにもフレンドリーな性格で、Aくんを抱っこして楽しそうにローラー滑り台から降りてきます。
一方、わが家の夫はというとスマホゲームばかり。何度も「娘といるときは最低限にして」と伝えているにもかかわらず、公園にいるときまでゲームに夢中です。娘に「ねえ、パパも行こうよ~!」と手を引かれても「ちょっと待って。イベント中だから。あと数ポイントで限定キャラが手に入るんだよ」と画面を見たまま軽く振り払う始末。正直、私も「そこまでする……?」と心の中でドン引きです。しかし、過去に強く注意したことで夫婦げんかに発展した経験があったため、今回もこれ以上言ったらせっかくの雰囲気を壊すことになるのではと思い、ぐっと堪えました。
夫にモヤモヤしながらも、お昼になったので公園内のレストランへ。友人家族は夫婦2人で協力し合ってAくん用の椅子や手口拭きを用意しています。その横でまだ画面から目を離さない夫に私が「椅子持ってきて」と伝えても空返事。すると、友人の夫が「あ、俺持ってきますよー!」と夫よりも先にサッと動いてくれたのです。あまりにも対照的な私たち夫婦の雰囲気を見かねた友人からは、小声で「けんかしてるわけじゃないよね?」と聞かれ、私は気を使わせて申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
その後、颯爽と椅子を持ってきた友人の夫。「本当にありがとうございます、すみません」と伝えると「気にしないで!」と軽く笑って、娘を抱っこして座らせてくれました。そのとき、友人の夫は夫のスマホ画面をちらりと見て「あ、それ、限定イベントですよね? 最終日ですもんね! 気持ちめっちゃわかります!」と話しかけます。夫は「え、知ってるんですか!?」と仲間を見つけて目を輝かせました。
「じゃあ今日一緒に……!」と夫が言いかけた瞬間、「でもその限定キャラ、どうせ来月には上位互換が出て速攻で型落ちしますよね?」と友人の夫。続けて「それに比べて、今目の前で『パパ遊ぼう』って手を引っ張ってくれてる娘さんの笑顔って、今逃したら二度と復刻しない超激レアの“限定イベント”ですよ。ゲームのステータス上げるより、娘さんの中の『パパの好感度』上げた方が、絶対よくないですか? 僕、以前ゲームに夢中になりすぎて子どもに完全スルーされるようになってマジで絶望したんで、同じ失敗してほしくないんですよね」と苦笑いしたのです。
ゲーム用語を巧みに交えた、ぐうの音も出ない猛烈な正論。夫は小声で「そ、そうですよね、すみません」と言ってスマホをポケットにしまい、娘の食事の準備を始めたのでした。
昼食後、夫と一緒にローラー滑り台をしたり走り回ったりして、娘も満足の様子。さらに、帰ってから私と娘に「今日はスマホばかりでごめん。たしかにゲームのイベントよりも娘との時間のほうが貴重だし、大切にしたいよな」とすっかり反省した様子でした。それからは、休日にゲームをしていても、娘に話しかけられるとハッとしたようにスマホを置き、応えるようになったのです。
これまでは「娘よりゲームなの!?」とただ感情や正義感をぶつけ、夫も「仕事のストレス発散が必要なんだ」と頑なになるだけでした。今回友人の夫が「ゲーム仲間」として夫の思いにも共感しつつ、子育て中の貴重な時間を夫にも響く言葉で伝えてくれたのを見て、感謝と同時に、自分の伝え方についても深く考えさせられました。
これからは、単に相手を責め立てて変えようとするのではなく、夫の関心事やプライドに一度寄り添う言い方を模索したり、時には第三者の客観的な視点や言葉をうまく借りたりしながら、互いの言葉に素直に耳を傾けられる関係性を築いてこうと学びになった出来事でした。
著者:外村真由/30代・ライター。破天荒な2歳の娘に毎日ついていくのが精いっぱいのママ。普段激務の夫が早く帰って娘を寝かしつけてくれている間、ゆっくりお風呂に入る時間が何よりの癒し。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)