物件選びで義母が放った言葉
娘を妊娠していたころ、住んでいたアパートが子育てをするには手狭なため、マンションを買うことにしました。夫婦でチラシを見比べモデルルームを見学して、忙しくも楽しい毎日を過ごしていたある日、車で15分ほどの隣町の義実家で義父の定年祝いをすることになったのです。
食事会が進み、マンション購入の話題に。いくつかモデルルームを回って候補が絞れてきたことを話していたのですが、徐々に義母が不機嫌な表情になり、最終的には「なんで私に真っ先に相談しないの!? ○○家の将来のことなのに、なんで私じゃなくてあなた(私)が息子と勝手に話を進めているわけ?」と、私を睨みつけ高圧的に詰め寄ってきたのです。
結婚して以来、義母はいつも穏やかでやさしかったので、突然の激怒に私はパニックになり、恐怖で声も出ません。夫が「なんで母さんが決めるんだよ。俺たちが住む家なんだけど」と返すと「だってあなたたちの候補、うちから遠くのマンションばかりじゃない! 将来私たちの介護もあるのよ? 近所にしようとかそういう配慮がまったくないのね!」と衝撃の言葉を放ったのです。まさかそんな理由で怒っているとは思わず、私は絶句。
するとそれまで静かに話を聞いていた義父が「いい加減にしなさい!」と口を開きました。「うちは大きな援助ができるわけでもないんだ。口を出す権利はないだろう。それに、息子だって大人になって家庭を持ったんだ。介護のことだってお前が勝手に決めるんじゃない!」と言ってくれたのです。義父は長年家庭のことに口を出さないタイプだったそうで、そんな義父に厳しくたしなめられたからか、義母はショックで固まってしまいました。
気まずいまま食事会はお開きになり、帰りの車内でショックを受ける私。夫は静かに口を開きました。「実は、小さいころから母さんは過干渉で、高校も大学も全部母さんに決められてきたんだ。親父は仕事でほとんど家にいなくて頼れなかった」と話し始めたのです。夫の過酷な幼少期と、人生の大切な場面で義母の過干渉から助けられなかった過去を悔いている義父のことを、私はこのとき初めて知りました。
後日、義母から私宛てに謝罪の電話がありました。あの夜、義父と朝までじっくり話し合ったそうです。「現役時代の夫は多忙でほとんど話ができなくて……。私は一人で子育ての責任を抱え込んで過干渉になってしまっていたの。今でも同じようにまだ息子に対して過干渉で……。あなたを傷つけてしまったわよね。本当にごめんなさい。これからはあなたたち夫婦の決断を尊重するからね」と涙ながらに謝ってくれました。
その後、無事に希望のマンションを購入し、娘が生まれ、今では程よい距離感で見守ってくれる理解ある「おばあちゃん」になってくれています。
長年連れ添った夫婦であっても、話し合わなければお互いの悩みや孤立に気づけないのだと、義父母を見て実感しました。心に少しでも余裕を持っておくことは、子どもへの関わり方に響いてくると思います。私も夫と密に話し合い、自分一人で抱え込まないようにしながら、家族の絆をしっかり築いていきたいと決意した出来事でした。
著者:二宮ユキ/20代・ライター。1歳の女の子を育てるママ。イヤイヤ期の娘に喜んで振り回される日々。娘と一緒に食べるおやつの時間が癒し。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)