自分だけ高級寿司を頬張る夫にあ然!
毎日の育児で疲労が溜まっており、久しぶりの外食だったので、「今日は思いきり好きなものを食べよう!」と私はとても楽しみにしていました。ところが入店して席に着くなり、夫はタブレットで大トロ、中トロ、ウニ、炙りのどぐろ……と次々に注文。混んでいないからか、私が飲み物の準備をしている間にすぐ到着し、高い皿ばかりがどんどん並びます。
そして夫は高い寿司を頬張りながら、私が寿司を注文しようとすると「え、ママたちは茶碗蒸し、ポテト、うどんとかでいいだろ」と言ってきます。私が「え? 私もお寿司食べたいけど」と不満を漏らすと、夫は笑いながら「ママは子どもとわけないといけないだろ? 子どもはあんまり量食べられないし、残したらもったいないじゃん」と、わけのわからないことを言うのです。なぜ私だけが子どもの残したものを片づける前提なのかもわからないし、そもそも回転寿司は食べる量を調整しやすいので、考えながら食べれば寿司でもサイドメニューでも問題ないはずです。
そんなことを考えていると、夫は続けて「子どもは寿司よりポテトとかうどんのほうが食べたいと思うよ?」と、またもや的外れなことを言います。
「子どもの食事のフォローは母親がするもの」という考え方や、子ども思いのように聞こえるけれど何も考えていないだけの発言に、私は一気に食欲がなくなりました。夫はそんなことには気づかず、自分だけビールまで注文。その様子を見ながら娘は「ママは、お寿司食べないの?」と不思議そうな顔をします。私は、外食を楽しみにしていた娘のために、その場の空気を悪くしたくなくてたまたま流れてきた好物のサーモンを1皿だけ食べ、あとは我慢したのでした。
しかし、会計時にさらに驚くことが……。夫がレシートを見ながら、「わ。なんかいっぱい食べたね! 結構高くなったし、ここはお互いのこづかいから折半にしよう! 夫婦で協力!」と言い出したのです。私が専業主婦なこともあり、これまで「外食費は俺が出す」と言ってくれていたのに、会計が高くなったからといって折半を提案され、モヤッとしました。私は思わず、「え、でもほとんどあなたが食べたよね?」と抗議します。すると夫は、「家族なんだから細かいこと言うなよ」と不機嫌に。その瞬間私は、「家族だから、雑に扱っていいと思っていたのか……」と気づき、渋々支払いを済ませました。
家に帰ってからも、私の腹の虫はおさまりません。そこで、夫が寝たあと、ある作戦を敢行することにしたのです。翌朝、起床した夫が、食卓の壁に貼られた1枚の紙に気づきます。そして、目を点にして「え? なにこれ?」と驚きました。そこには、昨晩の寿司屋のレシートをもとに、私が作った“監査報告書”が貼ってあります。
大トロなど夫が食べた寿司ネタの合計額と、私と娘が食べたポテトやうどんなどの合計額を書き出し、それぞれグラフ化。そして私が負担した支払い総額の半分のところに印を付けて、夫が本来負担すべき金額との差額が一目瞭然になるように工夫したものです。さらに最後に「あなたの未払い分は〇〇円です。家族経営の監査に引っかかりましたので、ご報告いたします」と事務的な一文を添えました。
夫は、紙をじっと見つめ、「うーん」と唸ったまま。何も言わない夫に、私は「別に食べ物の恨みとか、お金が惜しいとかじゃないのよ。ただ、最初から“食べなくていい側”にされたのが悲しかっただけ」と冷静に伝えました。夫は「そうか……」とつぶやいただけで、静かに朝食を取り、会社へ出掛けて行きました。
翌週末、監査報告が効いたのか、夫の提案で2週連続で外食に。子どもと行ける少し高級なレストランに誘ってくれたのです。夫は「この前は自分勝手なことばかりして、本当にごめんね。自分だけ好きなもの食べて満足して、ママや子どもの食べたいものをまったく考えてなかった……。それに、自分が贅沢した分まで『高くなったから割り勘で』なんて、何の考えもなしにひどいこと言ったなって……。あの紙(監査報告書)を見て、自分の身勝手さとママを雑に扱ってたことにやっと気づいたよ」と謝罪。「今日は2人とも好きなの頼んで」と言ってきちんと謝ってくれて、私と娘は、ご馳走を存分に楽しみました。以降の外食でも、家族全員が好きなものを食べられるように、気を使ってくれるようになったのでした。
振り返れば、その場で「私も好きなものを頼むね」と言えばよかっただけのことでした。しかし、家族のためにその場の空気を壊したくないという気持ちから、つい自分の気持ちを後回しにしてしまいました。
家族であることを理由に雑に扱われていたことに気づき、不満を抱えたままモヤモヤするより、相手に伝わるよう方法を工夫しながら、自分の気持ちをきちんと言葉にすることが、お互いを尊重し合える関係につながるのだと実感した出来事でした。
著者:長嶺りょう/30代・主婦。4歳の女の子を育てるママ。寝る瞬間までおしゃべりを続ける娘の横で白目を剥きながら、大好きな推しのことを考えて現実逃避中。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)