自分中心の身勝手な夫
結婚してから、隣町の義実家の家業を手伝っていた私。産後、義両親からは「赤ちゃんも小さいんだから無理しなくていいのよ」と気遣ってもらっていたのですが、夫が「あいつ(私)も毎日家に籠ってたらしんどいからさ。外で働くほうが気分転換になるんだよ」と私が口にしてもいない主張を繰り返し、私は生後5カ月の娘を背負ったまま、毎日10時から16時まで接客をこなしていました。夫はといえば、普段は会社勤めで店を手伝うこともなく、家でも気分次第でたまに家事をする程度で、私は育児と家事、家業の手伝いを、どうにかこうにかひとりで頑張っていたのでした。
そんなある日、夫が「今日の仕事は昼までだから、夕ごはん食べて娘を風呂に入れてから、19時にテニスに行く」と言いました。珍しく娘をお風呂に入れてくれるという協力姿勢に私は感動し、お願いすることに。そして、お風呂に入れてもらう間に家事を進めようと、段取りを考えながら義実家の手伝いから帰宅したのです。
家に着くと夫は昼寝をしていました。普段なら「寝てないで手伝って」と思うものの、「お風呂に入れてくれる」というという事前の約束があったおかげで、私も「仕事で疲れたんだな」と気持ちに余裕がありました。そして娘をあやしながら、夫の予定に合わせて急いで夕ごはんを作り、「夕飯できたよ。食べて娘のお風呂お願い」と夫を起こしました。
しかし夫は起きて早々に「昼飯食べたの遅めだったから、あんま腹減ってないんだよね。胃が気持ち悪いから夕飯いらないわ」と言うのです。
「それなら連絡入れてくれたらいいじゃない。食べて行くって言うから急いで作ったんだよ」と私が言うと、「ごめんごめん」と気のない謝罪。そのうえ「あ、テニス18時になったから風呂入れるの間に合わないや」と、私が引き留める隙もなく出かけてしまったのです。
残された私は呆然と立ち尽くしました。急いで作った夕飯もいらないと言われ、お風呂も入れてもらえず……。約束をあっさり破り、自分勝手に遊びに出て行った夫への怒りと虚しさでいっぱいになったのです。義両親はいつもやさしく接してくれますが、仕事で忙しく、何より実の息子をかばうかもしれないと思うと相談できません。八方塞がりで誰にも頼れず限界を迎えた私は、隣県に住む実母に電話して泣きつきました。
母は私の悲痛な声を聞くとすぐに、「何してるのあの人は! すぐ行くから待ってなさい!」と言い、高速道路を使ってわずか1時間で駆けつけてくれたのです。母の顔を見ると涙が止まらなくなった私。今までの経緯を詳しく話していると、母は明らかに怒った顔になりました。「今すぐ電話かけて! 呼び戻して説教してやる」と母が言うので、夫に「申し訳ないけれど、帰ってきてくれない? 話があるの」と電話をすると「は? なんだよ」とだるそうな返事。一応帰っては来ましたが、「せっかくテニスいいところだったのに。突然帰って来いとかマジで勘弁してくれ」とイライラしていました。
すると、別室に控えていた母が「ずいぶん自分勝手ね。この子はあなたのお母さんじゃないの」と登場。まさか義理の母が来ているとは思わなかった夫は目をぱちくりさせています。母は、「昼は子守しながら仕事して、帰ってからはあなたの面倒までみて、娘(私)は一体いつ休むっていうの?」と続け、叱られるなんて考えもしていなかった夫は、もちろん反論もできません。「すみません」と申し訳なさそうに繰り返すばかりです。普段の母は夫に対して穏やかで、にこやかに接していたので、そのギャップに夫は驚いたようでした。
なぜ予定より早く出かけたのか母が問いただすと、「ママが家にいるなら任せられると思って……」となんとも無責任な理由が発覚。そして、夫は自らテニス仲間に「早く集まれるなら時間を前倒ししよう」と提案していたことも白状しました。「自分の遊びを優先するために、妻への思いやりも捨て、娘の世話も放棄……。そんな無責任な人なら、この子たちには必要ないわね!」と言い放った母。その後も母から何度も雷を落とされた夫は相当こたえたようで、それからは一変して家事育児に協力的になり、約束もきちんと守るようになりました。心配した母が定期的にチェックに来てくれるのも、夫へのいい歯止めになっているようです。
「お風呂に入れる」という言葉は、夫にとっては「なんとなくの思いつき」で口にした軽い約束だったのかもしれません。しかしそれを信じて期待を裏切られた側はとても悲しく、深く傷つくものです。どんなに小さなことであっても交わした約束はちゃんと守ること。そして、相手の負担や気持ちを思いやる姿勢こそが夫婦には大切なのだと、身をもって実感した出来事でした。夫婦でもっと密にコミュニケーションを取り、今回のようなときには第三者の手も借りながら、お互いを尊重し合える対等で健全な関係を築いていこうと思います。
著者:二宮ユキ/20代・ライター。1歳の娘を育てる母。イヤイヤ期の娘に喜んで振り回される日々。娘と一緒に食べるおやつの時間が癒し。
作画:sawako
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)