忘れられない義父からの電話
私が38歳になった年のことです。1歳の娘が肺炎で入院し、私の誕生日が退院日と重なりました。私は娘のことが気がかりで、とても自分の誕生日を祝おうという気持ちにはなれません。それでも、娘が無事に退院できたのだからよかった。そう自分に言い聞かせていました。
病院から帰宅し、娘とようやくひと息ついていたときのことです。携帯が鳴り、画面には義父の名前が。義父から電話がくることはめったにありません。何だろう?と思いながら電話に出ると、義父はこう言いました。
「もう退院できた? よかったなぁ。ところで今日、誕生日やな。おめでとう」
今まで義父から誕生日に電話をもらったことはありませんでした。娘の入院で大変だった私を気遣ってくれたのかもしれない。そう思い、私は少しうれしくなりました。
ところが、その直後の言葉に、私は耳を疑いました。
「電話したのはな、お母さんが、あんたに”おばあちゃん”て呼ばれたことが嫌だったって言っててな。謝ってやってほしい」
一瞬、何を言われたのかわかりませんでした。お祝いの電話だと思ったのに、義母への呼び方について、私に謝ってほしいという内容だったのです。
たしかに、子どもの前で義母のことを「おばあちゃん」と呼んだことはあったかもしれません。けれど、それは子どもにわかりやすいように呼んだだけで、悪意があったわけではありませんでした。
それを伝えるのは、娘の退院当日で、しかも私の誕生日である今日でなければならなかったのだろうか。そう思うと、胸の奥がすっと冷えていきました。お祝いの電話だと思って少し喜んだ分、余計にショックでした。
私は「そうでしたか。大変失礼しました。あとでお義母さんに謝っておきます」とだけ返し、早々に電話を切りました。
その後、気持ちを整理する間もなく義母に電話し、謝りました。自分が本当に悪かったのか、謝る必要があったのかもわからないままでしたが、これ以上この話を長引かせたくなかったのです。
以降、私の誕生日に義父からお祝いの電話がかかってきたことは、一度もありません。
義母が呼び方を気にしていたのなら、直接伝えてもらえれば、私も考えることができたと思います。けれど、娘が無事に退院した日であり、私自身の誕生日でもあったあの日に、わざわざ謝罪を求められたことは、今でも忘れられません。
今回の出来事を通して、たとえ伝える必要があることでも、そのタイミングによっては相手を深く傷つけてしまうのだと感じました。私自身も、誰かに何かを伝えるときには、相手の状況や気持ちを考え、言葉だけでなくタイミングにも配慮していきたいと思います。
著者:直野りんこ/40代女性/2011年生まれの息子と2015年生まれの娘、2人の子育てに奮闘中。最近ネギやミョウガが好きになり、私も大人になったなぁと感じます。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年9月)
※AI生成画像を使用しています
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