「また1個貸して!」隣人から繰り返されるお願いに困惑
ある日、隣の部屋に住む60代ぐらいの女性から「トイレットペーパーを切らしちゃって、1個だけ貸してもらえませんか?」と声をかけられました。
急になくなってしまったら困るだろうと思い、私は「いいですよ」と新品のトイレットペーパーを1個渡しました。普段から顔を合わせるご近所さんですし、困ったときはお互いさまだと思ったのです。
その後、代わりのトイレットペーパーを渡されることはありませんでしたが、1個だけのことなので、特に気にしていませんでした。
ところが数日後、廊下でその女性と顔を合わせると、「ごめんなさい、またトイレットペーパーを切らしちゃって……。もう1個貸してもらえませんか?」と頼まれたのです。
「また?」と少し驚きましたが、今回も本当に困っているのかもしれません。私は少し迷ったものの、もう一度新品を1個渡すことにしました。
しかし、それからしばらくして、また同じ女性に声をかけられました。
「トイレットペーパー、また1個お願いできます?」
これで3回目です。1回目は申し訳なさそうに頼んでいたのに、今回は「また」「お願いできます?」と、すっかり慣れた様子で、軽い口調に変わっていました。新しいトイレットペーパーを返してくれるわけでも、お礼があるわけでもないのに、頼まれることが当たり前になっているようで、このときは違和感を覚えたのです。
そこで私は、「すみません。うちも使うものなので、今回はお貸しできません」と伝えました。
すると女性は、少し驚いたような顔をして、こう言ったのです。
「えっ、たった1個くらいで? ご近所同士、助け合いでしょ?」
笑いながら言われたので、私は返事に困ってしまいました。
困っていると思ったからこそ、2回も新品を渡したのです。それなのに、お礼もお返しもないまま、断った途端に「たった1個くらいで?」と言われ、カチンときてしまったというのも正直なところです。
「助け合い」と言えば何でも通ると思っているのでしょうか。これまで一方的に渡してきたのはこちらなのに、まるで断る私のほうが冷たい人間であるかのような言い方に、モヤモヤが止まりませんでした。それでも、言い争いたくはありません。私は気持ちを落ち着けて、「申し訳ないですが、今後もお貸しすることはできません」と伝えました。
女性はそれ以上何も言わず、その場を離れていきました。それ以来、私にトイレットペーパーを頼んでくることはなくなりました。
後日、別の住人から、その女性がほかの部屋でも同じようなお願いを繰り返していたと聞き、驚きました。
最初にトイレットペーパーを渡したことは、今でも間違いではなかったと思っています。あのときは困っているように見えましたし、自分にできることなら助けたいと思ったからです。
今もご近所さんとは気持ちよく付き合っていきたいと思っています。親切にしたい気持ちと、一方的なお願いを引き受けることは別なのだと、今回の出来事で気づくことができました。これからは自分の心地よい距離感を大切にしながら、無理のない範囲で、困っている人には手を差し伸べていきたいです。
著者:三矢裕子/30代女性/5歳の子どもを育てる母。在宅ワーカー
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年10月)
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