「子どもがいるから仕方ないよ」同僚の言葉に救われていた私
常勤の看護師として働いていたころ、小さな子どもが毎月のように熱を出し、どうしても早退が必要になることがありました。
もちろん、職場のみんなに負担をかけていることはわかっていました。だからこそ、できる範囲で仕事を調整し、必要な引き継ぎをするなど、自分なりに迷惑をかけないよう心がけていました。
それでも急な発熱は避けられません。その日も保育園から連絡が入り、早退することになりました。
「すみません、また早退させてもらいます」と頭を下げると、同僚たちは「大丈夫だよ」「子どもがいるから仕方ないよ。早く行ってあげて」と声をかけてくれました。
申し訳なさでいっぱいだった私は、その言葉に少し救われた気持ちになり、急いで職場を出ました。
ところが、少し歩いたところで忘れ物に気づき、職場へ取りに戻ったときのこと。忘れ物を取って帰ろうと廊下を歩いていると、近くの部屋から同僚たちの話し声が聞こえてきました。
忘れ物を取りに戻ると、聞こえてきたのは…
「また早退? 子どもがいる人はいいよね。何かあればすぐ帰れて」
耳に入ってきた言葉に、私は思わず足を止めました。
さらに別の同僚が、「結局、残ったこっちがフォローするんだけどね。正直困る」と続けます。
ついさっきまで「仕方ないよ」と笑顔で送り出してくれていた人たちの声でした。
一瞬、自分のことではないと思いたくなりました。しかし、話の内容から、私のことだとすぐにわかりました。
助けてもらっていることは十分わかっていましたし、負担をかけている申し訳なさもずっと感じていました。それでも、送り出してくれたときの言葉とのあまりの違いに、胸がぎゅっと苦しくなりました。
陰口を聞いていたのは、私だけではなく!?
ショックでその場を動けずにいると、ふと背後に人の気配を感じました。振り返ると、そこには上司が。どうやら上司も、今の会話を聞いていたようでした。
上司は私の顔を見ると、小声で「ごめんね。ここは私に任せて」とひと言。そして、そのまま同僚たちのいる部屋へ入り、「急な早退で大変なことがあるのはわかる。でも、本人のいないところで責めるような言い方をするのは違うんじゃない?」と声をかけました。
さらに、「困っていることがあるなら陰で言うんじゃなくて、どうすればみんなの負担を減らせるか考えよう」と伝えてくれたのです。
私は廊下でその言葉を聞いていました。上司までその場に居合わせていたことには驚きましたが、私が何も言えずにいる中、すぐに声を上げてくれたことをとても心強く感じました。上司の言葉を聞いたあと、私はそのまま子どものもとへ向かいました。
もちろん、急な早退によってほかのスタッフに負担をかけてしまうことには、申し訳なさを感じていました。その後も、早退が必要なときにはできるだけ早く報告し、引き継ぎや仕事の調整をするよう心がけました。
あのとき上司がその場で声を上げてくれたことで、ひとりで抱え込まなくてもいいのだと思えました。周囲への感謝は忘れず、自分にできる引き継ぎや調整をしながら、必要なときには助けを求めていきたいと思っています。
◇ ◇ ◇
子育て中に限らず、病気や介護など、誰にでも急に仕事を離れなければならない事情が生じることがあります。フォローする側に負担がかかることもあるからこそ、日ごろからお互いに声をかけ合い、困ったときに支え合える関係をつくっていきたいですね。
著者:田中葵/40代女性・看護師。8歳の娘を育てる母。子育てを重視して常勤からパート勤務へ変更。夫は早朝から夜遅くまで仕事をしているため、育児はほぼワンオペ。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年9月)
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