イスラム教とは関わりが少ない日本でも、「ラマダン」という言葉は聞いたことがあると思います。今年は、5月下旬から約1カ月の間がラマダンです。多くの人が漠然と“イスラム教徒が「断食」をすること”というイメージをお持ちだと思いますが、「ラマダン」は「断食」という意味ではありません。
そもそもラマダンとは?
「ラマダン」とは、イスラム暦の9月のこと。毎年、この時期にイスラム教徒の5つある義務のひとつである断食が行われます。ラマダン期間は約1カ月間(新月の確認によって決まるので、日数では決まりません)。日の出から日没までの間、食べ物だけでなく飲み物も一切断たなければなりません。
イスラム暦は1年が354日で、1年が365日の太陽暦とはずれるため、9月といっても、太陽暦に合わせると毎年、11日ほどずれていくことになります。そのため、暑いときもあれば、寒いときもあります。暑いときは、水も一切飲めないので本当に大変です。
断食は何のため?
断食をすることによって、食べ物のありがたみを知り、神の恵みに感謝するため、世俗的な欲を捨て、神への献身と奉仕に没頭するため、などといわれています。
日没になると家族や友人が集まり、イフタールと呼ばれる1日の断食の終わりの食事をとります。ここから、次の日の出までにできるだけ食事をとる人が多いため、ラマダン時期は夜中までにぎやかです。
断食を免除される人々
旅行者や妊婦、生理中の人、高齢者や乳幼児、重病人などは断食を免除されることになっています。ただし、旅行者や妊婦、生理中の人は、次のラマダン時期までの間に、断食をしなかった日数分、断食を行わなければならないとされています。
一方、乳幼児は完全に断食をしなくてもいいことになっています。物心ついて家族が断食をするのを見て、最初は短い時間だけ断食を経験する、ということから始めます。完全に断食を行う年齢は決まっていませんが、10歳を過ぎるころから、大人と同じようにする子どもが増えてくるようです。
ラマダン時期は昼の間、飲食を一切絶つため、痩せると思われがちですが、夜中にたくさん食べるので、太る人が多くなるそうです。また、イフタールでは、いつもより豪華な食事を出す家庭が多く、そのためか、クックパッドのアラビア語版では、ラマダン時期の検索数が伸びるそうですよ。(TEXT:ヒロコ ラメッシェ)