本来、床上げまで3週間は体を休めるもの
妊娠中、先輩ママから「産んでからのほうが大変だよ」「出産よりも産後のほうが辛かった」と聞いたことはありませんか? 妊娠中は赤ちゃんを無事に産むことで頭がいっぱいで、赤ちゃんのいる生活は想像がつかないものです。
退院したらその日から頻回授乳、おむつ替え、沐浴、抱っこ…と24時間慣れない育児が始まります。それに加えて食事作り、掃除、洗濯、買い物などの家事もあり、産後の体を休めるひまもありません。 本来、床上げまでの3週間はできるだけ安静にするのが望ましいもの。
「産後の肥立ちが悪い」という言葉がありますが、産後に無理をしてしまうと母体が回復せず、産後うつや更年期にも影響を及ぼすことが。昔は、病院でなく自宅で出産するのが一般的だったので、産後のお母さんたちはしばらく布団を敷きっぱなしにして、できるだけ横になって体を休めていました。昔の日本は大家族が当たり前で人手がたくさんあったため、お母さんは安心して体を休めて育児に集中できたのです。
いま、産後ケア施設が増えている理由とは
でも、核家族化が進んでいる現代では、そういうわけにはいきません。親が近くに住んでいたり、里帰り出産ができればいいのですが、さまざまな事情から親のサポートが受けられない人も増えています。そんなお母さんたちの心強い味方となっているのが「産後ケア施設」。今回取材にうかがった「とよくら産後ケアハウス」の産みの親、助産師歴39年の豊倉節子院長は次のように話します。
「以前から産褥(さんじょく)入院の大切さを感じていました。日本には“里帰り出産”という文化がありますが、出産の高齢化によって親の介護などと重なり、それができないお母さんが増えてきています。また、産後の入院期間が昔と比べて短くなったことで、赤ちゃんのお世話が軌道にのらないうちに退院することが多いです。そんなお母さんたちの受け皿になってあげたくて、この施設をつくりました」
産後ケア施設とは、お産後間もないお母さんが赤ちゃんと一緒に滞在して身体の回復をさせると共に赤ちゃんのお世話の仕方に慣れていくための場所なのですね。(TEXT:妹尾香雪)
次回は明日1月25日に掲載予定です!