ある男性が2月28日の毎日新聞に投稿した文章が、ここ数日、ニュースなどで話題となっています。その男性の奥さまの職業は保育士。奥さまが勤務している保育園では、結婚の時期、妊娠の順番まで園長に決められていて、「先輩を追い抜くことはダメ」という暗黙の了解があるようでした。
保育士の妻を持つ夫の声が話題に
そんななか、奥さまの妊娠が判明。男性は、奥さまと一緒に園長先生に「子どもができてすみません」と頭を下げに行ったそうです。
園長先生は渋々認めてくれたものの、奥さまは翌日から「どうして勝手にルールを破るのよ」と、つらい言葉を投げかけられ、肩身の狭い思いでいるというものでした。
世間の声は?
この男性の投稿に対する反響は大きく、あるTV番組の街頭インタビューでは、保育士に限らず、年子で妊娠をしたら仕事を辞めるよう促されたという女性や、仕事の経験値が浅いうちに妊娠を伝えたら厳しいことを言われたという女性の実際の経験談が明らかになりました。
働いている女性が妊娠したとき、うれしい気持ちと「仕事、どうしよう?」という気持ちの2つがあるのではないでしょうか? この保育園のルールがなかったにせよ、私も、スタッフが少人数しかいない職場で働いていたため、妊娠したときは喜びの反面、やはり申し訳なさもありました。
保育従事者はどう考える?
毎日新聞では、保育関係者で作る「保育研究所」の村山祐一所長が、結婚や妊娠の“順番決め”は保育園でめずらしくないことだと語っていました。
長時間労働などを強いられることが多い保育士は敬遠されがちで、数が足りないことが背景にあり、一人の保育士が経験を積む仕組みが崩れ、保育の質も低下しているとのこと。“順番決め”は、妊娠や出産をしても保育士を辞めず、経験を積んでいくための工夫とも映る、との見解を示しています。
また、「保育士不足の中で園児の保育環境を維持するためだったと思う」といった元保育士の見解も見られました。
どんな職場であっても、マタハラや妊娠を期にキャリアから外されたなどの話はよく聞きます。「妊娠しました」と伝えるときに、「すみません」と言わなくてもいいような環境が整っていくと、これから妊娠や出産を考えている人にとっても、フォローする周りの人も働きやすくなっていくのかもしれません。
2歳の男の子を育てるワーキングマザー。「子どもにはいろいろな経験をたくさんしてほしい!」という思いから、いろいろなところへお出かけするのが休日の日課。妊娠・出産・育児の経験を生かし、ベビーカレンダーにて子育て支援に関する記事を執筆中。