2019年10月には消費税増税が予定され家計への影響も避けられないところですが、この消費税を財源に幼児教育の無償化も予定されています。2019年1月時点で決まっている内容や状況についてお伝えします。
1.3歳~5歳のすべての子どもが無料になる予定
2018年12月28日に関係閣僚合意された方針にある主な内容は以下のとおりです。
①実施時期:2019年10月1日
②対象者:3歳から5歳までのすべての子ども、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子ども(上限月額4.2万円)
③対象施設:幼稚園、保育所、認定こども園、待機児童で保育の必要性のある場合は認可外保育施設(上限月額3.7万円)
④無償化の対象とならないもの:保護者から実費で徴収する費用(通園送迎費、食材料費、行事費など)
⑤幼稚園の預かり保育の無償化:保育所・認定こども園と公平性を保つために幼稚園の預かり保育を利用する子どもについては、保育の必要性があると認定を受けた場合には、幼稚園利用料の無償化に加え、利用実態に応じて、上限月額 1.13 万円までの範囲で預かり保育の利用料が無償化されます。なお、無償化の対象となる預かり保育の利用料は、実際の利用量に応じて計算されます。
2.無償化により利用者が増える可能性も
待機児童が人口の多い地域を中心に増加していますが、厚生労働省発表の2017年10月時点の待機児童数は55,433人でした。待機児童は、入所・利用資格があるにもかかわらず、保育所が不足等を理由に入所を待っている児童のことと定義されています。そのため、第1希望の保育所に入所するために待機している児童や最初から諦めて申し込みをしていない児童はこの数に含まれず、保育園を利用できれば利用したい児童はさらに増えると思われます。
待機児童の内、0歳~2歳が全体に占める割合は94%(2017年10月時点)ですが、無償化となる3歳に入所できるように前倒しで申し込みをする人が増える可能性が高くなりそうです。また、3歳以降も無償化されることに伴い、従来の利用料であったら利用を申し込まなかった人が利用を申し込むこともあるため、今までとは異なる人の流れになる可能性があることはご注意ください。
3.自治体独自に導入している場合も
2019年10月から導入されるこの制度では、国・都道府県・市区町村が協力し財源も分担しますが、子育て支援に積極的な自治体では、すでに幼児教育無償化を実施しているところもあります。
例えば、大阪府守口市では2017年4月から0歳~5歳児(未就学児)に対して、所得制限なく“幼児教育・保育の無償化”を実施しています。また、秋田県秋田市では、2018年4月から所得制限はあるものの、2018年4月2日以降に生まれた第1子から保育料を無償化しています。
その他、所得が少ない場合や子どもの人数が多い場合は保育料を無料にしたり、減額したりする制度ある自治体は多くありますので、お住まいの自治体のホームページや担当部署に確認することもおすすめします。
幼児教育無償化については、利用状況や財源なども踏まえて今後も変わる可能性があります。大きな制度変更のあった場合はこちらでもお伝えしますが、お子さんが小学生未満の親御さんは幼児教育無償化のニュースについては意識して確認しましょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。