ファミール産院きみつ(千葉県君津市)院長・統括チーフインタビュー
一番は安心。患者さんが安心してお産できる環境を最優先します
院長の長田久夫先生にお話を伺ってきました。 取材のとき、周りにいらっしゃった助産師さんら10人ぐらいのスタッフさんが急に集まってきて長田先生を応援していました。長田先生もそれに答えるように対応されていましたが、それぐらいスタッフ同士、仲が良いことが伝わってきました。その中を割って、今回のインタビューさせていただきました。
長田先生「お産は、我々スタッフが作っていくものではなく、患者さん自身が考え、作っていくものだと思っています。ですので、患者さんがどういうお産をしたいか、我々がお伺いし手助けできるように、そして万全の施策ができるように心がけています。例えば、母親学級ではどのようなことを伝え、どのようなことを事前に知っていただけたら患者さんご自身の考えているお産がイメージできるのかをずっと考え、改善していっております。
医療的なものは当然ですが、それ以外のお産の方法や、サポートの方法も患者さん一人ひとりに最適な形で支援させていただき、その結果、トータルでご満足いただけることが我々スタッフにとって重要なことだと思い、スタッフ全員に徹底させています。
そのためには、医師だけではなく、助産師、スタッフ全員が同じ思いで活動できなければなりません。
また、ファミール産院きみつでのお産の特徴の1つに『創のできないお産』がありますが、そのためには医師だけでなく、助産師の経験にも依存することもあります。医師と助産師、スタッフ全員が患者さんのお産を手助けする力、それそこがファミール産院きみつの強みだと思います」
患者さん自身のお産をしてもらいたい!
産院運営の要となるのが、浅野美智代統括チーフです。受付を含めたすべてのスタッフを統括し、かつご自身も助産師である浅野統括チーフに詳しい話を伺ってきました。大学卒業後、銀行に就職して結婚、出産を迎えたときに、助産師になりたい!と思って助産師学校に進学された異色の経歴をお持ちでした。まずは、その経緯からお伺いしてきました。
浅野さん「最初に就職したのは銀行でした。その当時は、男女平等ではない時代に揉まれてきました。その後、結婚・出産をしたのですが、出産した産院でのできごとが私の将来を変えたのです。というのも、夜中の出産だったのですが、そのときについていただいていた助産師さんはおひとり。しかも、妊娠8カ月。その病院は立ち会い出産ができない環境でしたので、出産の間はその助産師さんと二人っきりでしたが、その助産師さんが入院患者に加え、お産、新生児の世話などひとりですべてこなしていました。
そして、いざ自分の出産のときにはその助産師さんの対応が大変すばらしく、まったく不安になることもなく、無事出産することができたのです。そのときに、『助産師という仕事はすごい! 助産師になろう!』と思ったのです。その後、会社を辞め、看護学部、助産師学校に通い、35歳で新人助産師としてデビューしました。
最初は周産期センターで未熟児や早産などの対応を経験させていただき、その後、別の産院で一人前の助産師として活動できるだけのお産の数を経験させていただきました。そのとき、『助産師になろう!』と思った初心に戻り、私が妊婦健診からお産、産後の新生児訪問、助産師外来などをトータルでサポートしていけるようになるために、ファミール産院で働くことにしました。
ファミール産院きみつはスタッフが分業ではなく、患者さんに最初から最後までずっと寄り添ってサポートできる体制が特徴です。1人の助産師が妊娠期から出産、その後もずっと、そして幅広くフォローし、外来から病棟とすべてのセクションをローテーションしています。
そして『患者さん自身のお産をしてもらいたい!』というファミール産院グループの看護理念の基に、患者さんが意思決定できるようスタッフが患者さんに情報提供し、最大限サポートすることを徹底しています。それができるのは新人やベテランにかかわらず、すべてのスタッフのやりたいことを理事長が受け入れてくれるところにあります」
「浅野さん!」と呼んでもらえる関係づくりをしたい
浅野さん「こだわっているところは、スタッフと患者さんの接触回数です。サポートの質を上げることは、患者さんとの接触回数を増やすことからだと考えています。
時に患者さんから『放っておかれた』とか『ひとりにされた』『診てもらえなかった』と言われるケースがありますが、これは私たちにとってとてもショックなことなのです。例えば、夜勤の場合は、分娩室から一瞬離れないといけないことがどうしても発生します。そういうシーンでは、患者さんにとって私たちが忙しそうに見えてしまいます。そのとき患者さんには『何かあったら呼んでくださいね』と言ってその場を離れても、呼んでもらえなかったということがしばしばあります。そういう場面に遭遇すると、まだまだ我々の努力が足らないなって思います。
1つずつですが、そういう場面をなくすように、スタッフから患者さんへの声かけ、接触回数を増やすようにしています。少しでも一緒にいる時間を増やしたいのです」
浅野さん「『手当て』という言葉がありますが、人が人に触れて手をさする。お産のときに腰をさする。旦那さんが代わってさすっても、助産師さんじゃないと駄目と言われることがあります。おっぱいケアも『手当て』で解決することがあります。助産師の手は魔法の手なのです。
その魔法の手を最大限使って接触回数を増やす、すなわち、声かけし、手当てをしつづけることで、患者さんから『助産師さん』ではなく『浅野さん』と呼んでもらえるような関係性づくりを日々めざしているところです」
「ファミール産院きみつ」の特徴
最後に浅野統括チーフからは、「私たちは、ファミール産院きみつでお産をしていただくことは患者さんにとって一番幸せなことだと本当に思っています。スタッフは今日の一瞬を一生懸命やっているので、ぜひ次もファミール産院きみつで産みたいという人を増やすことにつなげたい」と力強いお言葉を頂きました。
ファミール産院きみつで、魔法の手をご経験してみるのはいかがでしょうか? 参考までに、ファミール産院グループは、館山市に「ファミール産院たてやま」がありますし、千葉市にもグループ関連産婦人科が2院あります。