北原産婦人科(千葉県船橋市)院長インタビュー
自然分娩が北原産婦人科の特徴
「北原産婦人科は、父が昭和46年に開院してから、地元に貢献する産婦人科として運営しています。私自身は平成10年に大学病院での勤務を終えて地元に戻り、平成14年に北原産婦人科の院長を引き継ぐと同時に、建物をリニューアルしました。当院は、自然分娩を中心としたお産が特徴で、医学的介入は最小限にしています。もちろん、安全のために必要なことは介入しますが、できるだけ自然な分娩を目指しています。初診で来られる患者さんは、事前にそのことをご理解いただいている方も多いので、スムーズな対応ができています」
「ただ、中には例外もありますよ。以前のことですが、妊婦さんから『祖母が入院中で数日しか持たない』『どうしても祖母にひ孫(赤ちゃん)を抱っこさせてあげたい』というお話がありました。その方は誘発可能な条件が揃っていたので、誘発で無事に女の子を出産し、その後、一時外出をしておばあちゃんに赤ちゃんを抱っこさせてあげることができました。赤ちゃんの都合ではなく、大人の都合で誘発したのはこのときだけです。患者さんとはじゅうぶんなコミュニケーションをとり、当院の方針についてご理解いただいております」
患者さんを中心にした診察
「昔のことですが、父の近所の評判は、”腕はたしかな先生だが怖い人”というものでした。父の診察は、患者さんよりも偉そうなイスに座って、上から目線で患者さんに話をしていたように私は感じていました。その一方で私は、患者さんができるだけ話をしやすい雰囲気をつくろうと考えていました。建物のリニューアルの際にも、診察室は患者さんより自分のほうが目線が低くなるように設計するなど、話しやすい雰囲気がつくれるように設計をしています」
「超音波検査の際も、エコー表示画面を患者さんからいちばんよく見えるような配置にしています。操作するほうはとても窮屈な体制になるのですが、患者さんのことを思えばできるだけ安心して検査を受けられて、満足していただけるように配慮しています」
患者さんと赤ちゃん一人ひとりに合わせて個別サポート
「病室は基本的に個室で母子同室にしています。産後の赤ちゃんへの授乳は、スタッフの都合で時間を決めて一斉にするのではなく、赤ちゃん一人ひとりのタイミングに合わせてスタッフが個室に訪問するなど、すべて個別に対応しています。患者さんと赤ちゃんにとって、できるだけベストなことを目指していくのが当院の方針です」
“北原田イズム!”でスタッフとの呼吸もばっちり
「当院の方針は、患者さんへのベストな対応です。その分、スタッフの負荷が高くなるのですが、原田師長の指導のもと、みんなが自ら気をまわしていく努力をしてくれていることが本当にうれしいです。師長が『原田』で、院長が『北原』なので、通称“北原田イズム”と呼ばれてますね。原田師長とはもう30年以上前からの付き合いですので、あうんの呼吸なんでしょうね」
「これからも、もっともっと患者さんにとってベストなことを考え続けていきたいと思っています。私の好きな言葉で、“病気を診ずして病人を診よ”(東京慈恵会医科大学の高木兼寛先生より)という言葉があります。病気ばかりを診るのではなく、患者さんを取り巻く環境やご家族をよく見ていきながら、医療を取り入れていくことが私たちの信念です」