彼との結婚を考えていた矢先に病が判明
24歳の春、4年付き合っていた彼の大学卒業式で、彼のご両親に挨拶する機会がありました。まだ2人の間で結婚するとは決まっていなかったのですが、ご両親に紹介されたことで、「いずれは彼と結婚するのかな……」と思い始めていた私。
ところが、その年の4月、胸にしこりが見つかり病院を受診。すると、若年性の乳がんが見つかったのです。すぐに腫瘍が大きくなるタイプだったため、5月には手術をおこない、続いて抗がん剤治療、放射線治療を受けることになりました。そして、医師からは「今後10年、子どもは望めません」と言う宣告も……。
彼とは「子どもが欲しいね」なんて将来について話したこともありました。ですが、その夢をすぐに叶えることはできないし、そもそも妊娠できるとも限りません。そんな思いから私は彼に別れを告げることに。
しかし、「別れよう」という私の言葉に、彼からの返事は、「就職したばかりで忙しいから、まだ結婚する気にはなれない。でも、別れるつもりもないよ」というものでした。
何度も彼に別れを切り出した
手術で片胸を失い、抗がん剤で髪の毛も抜けてしまいウィッグ生活に。「こんな体じゃ……」と思い、私は彼に何度も別れを切り出しましたが、彼はいつも冗談を言ってごまかし、決してうなずいてくれませんでした。
その後、放射線治療が終わり、しばらく生理がこないようにする内服治療のみになった26歳の夏、なんと彼からプロポーズ! でも、私は素直に喜べませんでした……。
と言うのも、彼の両親は私が病気で子どもをしばらく産めないとご存じで、あまりいい気持ちを持たれていないことを私は知っていたからです。彼は「別れたほうがいい」とも言われていたようでした。そのため、「すぐ子どもが生めない嫁はイヤだろうな……」と思っていたのです。
でも彼は、私から離れて行かず、ずっとそばにいて励ましてくれました。そして「2人でいれば大丈夫だから!」と何度も説得してくれ……。その言葉にだんだん私も心を動かされて、最終的には彼からのプロポーズを受けるに至りました。
改めて彼のご両親に挨拶
その後、改めて彼のご両親に会いに行くことに。大学の卒業式でお会いして以来、2年ぶりでした。
ご両親からは、「息子が結婚すると決めたんだから、反対はしていないよ。子どものことは後々考えてくれればいいから」と、声をかけてくださいました。そして彼も、「子どもができてもできなくても、離れないから」と、その場で言ってくれたのです! その言葉に私はすごく安心したことを今でも覚えています。
それからは、彼と2人の時間を大切にするようになりました! 子どもがいなくても楽しめることがあるとわかり、とても気がラクになったのです。
その後、結婚し、結婚式でも、彼が私の好きなようにさせてくれました! 例えば、結婚式ではショートヘアのウィッグ、披露宴はロングヘアのウィッグを着用させてもらいました。髪がないからこそできることを、と思い変化を楽しむことにしたのです。招待客も私の病気を知っている人たちばかり。花嫁の手紙でも包み隠さず話すことができました。
その後、無事に子どもを授かることができ、今ではなんと3人目を妊娠中! 私自身は病気が結婚のハードルになると思っていましたが、彼はハードルだと思わず、ずっとそばにいてくれました。彼には本当に感謝しています!
文/和木りまさん
イラスト/すうみ
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