こんにちは、保育士の中田馨です。将来「自立した心」を持つ子どもに育ってもらうためには「甘えさせる」ことが大切です。「甘えさせる」ことで親に依存的にならないようになるのですが、具体的にどのようにすればいいのかを考えていきます。
「甘えさせる」と「甘やかす」の違い
「甘えさせる」という言葉を出すと、よく比較されるのが「甘やかす」です。「甘えさせる」と「甘やかす」は一見同じような言葉に感じてしまいますが、実は大きく違います。
「甘やかす」とは
甘やかすというのは、子どもがしようとしていることを失敗しないように親が先回りをしてやってしまうこと。例えば、自分で靴下を履こうとしている子どもがいるとします。そんなときに、自分で履くと時間がかかるからと言って、先回りしてママが履かせるのは「甘やかす」です。甘やかすことを続けていると、自分でできるという達成感や、なかなかできないという悔しさなどを味わうことができません。
「甘えさせる」とは
甘えさせるというのは、何か問題にぶち当たったときに「大丈夫だよ」と受け入れることです。前例で説明すると、自分で靴下を履こうとしている子どもがいます。なかなかうまく履くことができずイライラし始めました。そこで、「ママが少しお手伝いしようか」と声かけをする。これが「甘えさせる」です。少し手伝ってあげたあと自分で履けたら、子どもは「自分でできた」という自信がつきます。
「甘えさせる」が足りない子とは?
「甘えさせる」というスキンシップを赤ちゃんのときからしている子どもは、十分に甘えてきたので、安心して1日を過ごすことができます。
実際に保育現場で子どもたちを見ていると、お家で「甘えさせる」が少ない子は、保育士によく「抱っこをしてほしい」と訴えます。また、自分から進んで遊ぶことにも消極的です。自分が「甘えたい」という欲求を満たされている子とそうでない子は、心の成長に違いが出ることがあります。
自立した心に育てるためにママができることは?
「赤ちゃんを甘えさせてあげましょう」と言われても、ざっくり過ぎてわかりづらいですね。そこで、ママが赤ちゃんにできることをお伝えします。
1. 赤ちゃんをほめる
赤ちゃんに「イヤイヤ」という心が芽生えてくる時期になると、どうしても親がしてほしいことを押しつけてしまうことがあります。でもそこはグッとこらえて「そうか、イヤなんだね。イヤってよく言えたね」とほめます。イヤという気持ちを表現できることも成長の1つです。そして、できることからチャレンジします。
例えば、おもちゃをかごの中に1個でも片付けられたらほめます。ほめられると赤ちゃんはできたことに自信を持つことができます。
2. 赤ちゃんを抱きしめる
ママとのスキンシップを十分に取ることが、やはり一番大切。スキンシップの取り方はいろいろありますが、まずは「抱きしめる」ことから始めてみましょう。赤ちゃんが甘えたいときはもちろんですが、そうでないときも抱きしめるというスキンシップを心がけてみてください。
ただ、1日中抱っこしているのではなく、ひとり遊びをじょうずにしているときはそっと見守るなど、メリハリをつけることも必要です。抱きしめられ、甘えるという欲求を満たされると安心し、自立していきます。赤ちゃんに「安心」の気持ちを積み重ねてあげましょう。
ひとりでできた経験を積み重ねる
まずは、遊びのなかから「ひとりでできた」経験を積み重ねていきましょう。「寝返りができた」「型はめをひとりで入れられた!」「積み木をひとりで1段積み重ねた!」。このようにわかりやすいこともそうですが、もっと小さいときから考えると「体の前で両手を組むことができた」「あお向けで足をつかむことができた」「うつ伏せで頭をグインとあげられた」というのも同じことです。赤ちゃんがひとりでできたことをママが見つけてほめるのです。そうすると「ひとりでできた」という達成感を味わうことができます。日々の積み重ねが自立した心に育つことにつながります。
達成感を味あわせること、甘えさせ安心させること、ときには赤ちゃんの様子をじっくり見守り、できないことへの悔しさに共感すること、ママのこういった姿勢で赤ちゃんの心は「ひとりでチャレンジするぞ!」と育っていきますよ。
イラスト/sawawa