平和な住宅街にまさかの訪問者!?正体は…
数年前の秋の出来事です。都心から少し離れたベッドタウンで、我が家は戸建てでのんびりと暮らしています。その日も家でくつろいでいたところ、外から突然、近所の人の叫び声が!
「田中さーーん! 玄関の前になんかいますよー!」
なんだなんだ?と慌てて玄関を開けると、
なんとそこには……

まさか……

…………。

「クックルー♪」という元気な鳴き声と共に、1羽のふっくらしたニワトリの姿が!
しかも、全く物怖じせず、ズカズカと玄関に入ってきたのです(後で調べたところ、どうやら「シャモ」のようでした)。平和な住宅街に現れた、まさかの珍客に驚くばかり。
まさかの珍客に家族全員オロオロ…「今すぐ警察呼んで…!」
突然の訪問者に、私と家族はもうオロオロ。
「えっ、えっ、どうする?」「誰かお家で飼っている子なのかな?」と、ご近所さんに聞き込みをしましたが、誰も心当たりがありません。
「ここから10kmくらい離れたところに養鶏場があったような……?」なんて話しているうちに、そのニワトリ、なんとリビングや2階の方へ飛んでいこうとするではありませんか!
折しも、当時は鳥インフルエンザが何かと心配されていた時期。
「これはまずい!」と焦り、ニワトリの機敏な動きに翻弄されパニックになりつつも、家族の連携プレーで一旦庭に誘導することに成功。
ひとまずホッと一息。また家の中に入られないように、玄関や窓のドアを閉めて庭に戻ると、いつの間にか姿が消えていたので、「無事に帰ったんだね!」と安心したのも束の間。
翌日もその翌日も、なぜか決まって昼過ぎになると、我が家の庭に「クックルー♪」と訪問してくるのです。
すっかり顔なじみ(?)になった私たちは、その子を「コッコちゃん」と名付けました。
毎日遊びに来てくれるのは可愛いのですが、さすがに「そろそろ、この子の捜索願が出てるかもしれない」「ちゃんとお家に返してあげないと」ということで、意を決して、最寄りの警察署に通報することに。
警察官「鶏の捜索願は…」コッコちゃんと衝撃のお別れ
ほどなくして、パトカーが到着。2名の警察官が降りてきました。
事情を説明する私たちと、相変わらず庭で「クックルー♪」とくつろぐコッコちゃん。なんともシュールな光景です。
しかし、警察官の方も困惑気味。
「うーん……ここらで鶏の捜索願は出ていないですねぇ。どうします?」 そう聞かれると、
(あ、こんなことで呼んでしまって申し訳なかったかな……でもこのままにしておくわけにもいかないし……)と、私も少し恐縮しながら返答に困ってしまいました。
「とりあえず、こちらで『遺失物』ということで引き取りますね」 そう言うと、警察官の方はコッコちゃんを段ボールの中へ。
私「(えっ!?)ファ!? 遺失物!? コッコですけど!?」
心の中で盛大にツッコミを入れましたが、コッコちゃんは「クックルー♪」と一声鳴いて、パトカーで連れていかれてしまいました。迷子の生き物も落とし物の財布や傘と同じように、「遺失物」として扱われるんですね。
今も心に残る切ない思い出
引き渡しておいて何ですが、その後1週間くらい、誰もいなくなった庭や玄関を見るたびに、なんだか切ない気持ちになりました。
平和な住宅街での、本当に不思議な出会い。 今ごろ、コッコちゃんはどうしているでしょうか。無事に本当のお家に帰れたのか、それとも「遺失物」として新たな場所で暮らしているのか……。
▲最初に玄関に現れたときのコッコちゃん
今も元気で、どこかで「クックルー♪」と鳴いていてくれますように。今でもふと思い出しては、家族で笑い話になっています。
※AI生成画像を使用しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。