ヤバい! 絡まれる! 腕をつかまれ絶望…
慌てて目を逸らした瞬間、その男性の「おいっ!」という声が聞こえ、私は怖くなりその場を離れようとしました。すると、目が合った怖い女性が私の腕をつかんできました。
どうしよう……。と顔を上げられずにいると、その女性が私の顔を覗き込んで「座って!」と言って、自分が座っていた席に手を引いてくれたのです。男性が「おいっ!」と言ったのは、私にではなくその女性に対してで、私を座らせてあげなという意味だったようです。
目が合った瞬間は、よく見ていなくて気がつかなかったのですが、男性は赤ちゃんを抱っこしていました。私が席に座らせてもらうと、妊娠中のことや出産、子育てのことをご夫婦で気さくに話してくれたのです。去り際には「体を大事にね、出産頑張って!」とエールまでもらいました。
私は見た目だけで判断してしまったことをとても反省しました。人は見かけによらないとよく言いますが、本当にその通りだなと、やさしいご夫婦の気遣いに感動した出来事でした。
妊娠してから席を譲っていただく機会が増え、とてもありがたいと思いました。ささいなことかもしれませんが、その「ささいなこと」に救われる人は多いと思うので、私もあのときのご夫婦のように周りを気遣える人でありたいなと思っています。
著者:夏川巴/30代女性・主婦。女の子1人、男の子2人の母。
イラスト:マキノ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています