小さい子どもを連れて公共交通機関を利用することは、本当に大変なものです。1駅で降りるくらいなら問題ありませんが、何時間もとなると乗る前から尻込みしたくもなります。しかし必要にせまられて子連れで飛行機に乗らなければならなくなり……。
ここでは、夫の海外駐在中、1歳になったばかりの子どもを連れて初めて飛行機に乗ったときの体験を紹介します。
赤ちゃん連れで使えるサービスを利用
飛行機に赤ちゃんを乗せるときに使えるサービスがいろいろあります。例えば座席にチャイルドシートを設置してもらえますが、これは通常の座席1つ分の値段がかかります。しかし、日本の航空会社では特定の座席を選べば、壁についている赤ちゃん用ベッド(ベビーバシネット)を無料で利用できるようになっているので、私はそちらを予約しました。
離陸して子どもが泣き始めて変わる空気
搭乗するとすぐさま若いCAの女性がにこやかにあいさつに来てくれました。しかし離陸して子どもが泣き始めると、先ほどのCAさんは緊張した感じで「さっきまではとてもいい子だったのに、いったいどうしてでしょう」と言ったのです。
ある若者は、子どもが泣き出すと私のほうを見て舌打ちをし、通路を挟んで隣に座っていた初老の日本人女性は「何歳なの?」とやさしく声をかけてきたものの「うるさくて大変よね」と、どんどん内容が嫌味に変わっていきました。子どもが泣き続けて、せっかく予約したバシネットにも寝かせることができず……。
初めて飛行機で泣く自分
搭乗前から緊張していた私は、緊張性頭痛と乗り物酔いを発症し、泣く子をあやさなければいけないのに頭痛と吐き気で何もできなくなり涙が出てきてしまいました。斜め前にこちら向きで座っている先ほどの若いCAは、ぎょっとした表情に。三十路の女性が突然泣いているわけですから当然です。
シートベルト着用サインが消えると、夫がしかたなく子どもを連れてどこかへ移動していきました。本来、着用サインが消えていても危険なので、なるべく立ち歩くべきではありません。
そのとき夫は、飛行機の翼の付け根にあった空間のようなところで、子どもをゆすってあやしたそうです。そして、ようやく寝た子どもをバシネットに寝かせることができました。
ラクだった戻りの飛行機
行きの飛行機では子どもが長時間泣いて、バシネットにも寝かせられず大変でしたが、戻りの便では終始子どもがバシネットで寝てくれて私と夫は機内食を楽しむことができました。行きの便は子どもにとっても初めての体験だったので、不安もあり泣き続けたのかもしれません。
小さい子を連れての搭乗は多かれ少なかれトラブルが起こるという認識が必要だな、と感じた空の旅でした。バシネットは行きの便ではあまり役立ちませんでしたが、帰りの便では大いに役立ったので予約してよかったと思いました。
著者:二橋ゆう
一女の母。フリーライター。元予備校講師。2011年から2018年まで上海在住。HSK6級保有。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。