娘が給食を残す理由
ここ数週間、娘を保育園に迎えに行くといつもぐったりしていました。「眠い……。抱っこ……」と私にしがみつく娘。私はてっきり「お昼寝が浅かったのかな」「休み明けで疲れてるのかも」と、勝手に理由をつけてしまっていました。
帰宅後、スマホアプリに届いた連絡帳を見ると、「給食:半分食べた」との記載が。娘に「半分しか食べられなかったの?」と聞くと「うん。今日は食べられなかった」という返事だけ。「具合が悪いのかも」と様子を見るも、夕飯はペロッと完食し、朝もすっきり起きてきます。もともと少食気味なところもあり、元気なら大丈夫だろうとあまり気に留めていませんでした。
しかしその後、給食を残す頻度や残す量が増えてくるように。担任の先生からも「あまり食べられてないみたいで……。私たちが理由を尋ねても娘さんはいつも『もう食べない』とだけ言うので、無理に食べさせてはいません」と報告を受ける日々。夕飯は食べられているし、翌朝も元気なので私も先生も、どうしたものかと悩んでいました。
そんなある日、お迎えのタイミングで、よく話すママ友が「今日、読み聞かせボランティアで教室に入って、そのあと少し残って給食準備を手伝ってたんだけどさ……」と声をかけてきて「隣の席の○○くんがずっと話しかけてて、途中で娘ちゃんが食べるの止まっちゃってて……。あんなに話しかけられたら食べられないと思うけど、大丈夫かな……?」と教えてくれました。
娘からあまり聞くことのないお友だちの名前に違和感を覚えつつ、帰宅後、何気なく娘に「給食のとき、○○くんといつもおしゃべりしてるの?」と聞いてみると、しばらく黙りこむ娘。そして小さな声で「○○くん、いつも食べるの早いんだ~」と話し、「給食のとき、ずーっとお話してくるの。だから最後にがんばって食べようって思うんだけど、たくさんお口に入れると苦しいからあんまり食べられないの……。先生が『まだ食べる?』って言ってくれるけど、私だけ食べるのは恥ずかしいから『もう食べない』って言っちゃう。大好きなハンバーグの日も、一口も食べられなかった……」と困った顔で話してくれたのでした。
その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅっと締めつけられました。娘はお友だちに話しかけられることに困っていても、それを相手の子に伝えられず、さらに話しかけてくる相手の男の子自身は給食を食べきれていることから、「おしゃべりしていても○○くんはちゃんと食べきれるのに、自分だけ給食が残っているのは、自分が食べるのが遅いからなんだ」「時間内に食べられない自分が恥ずかしい」と思い込み、先生や私にも言えなかったようです。
翌日、担任の先生に娘から聞いた話を伝えると、「まさかお友だちとの関係が原因だったとは思い至らず……。ただ楽しくお話しているものとばかり思っていました。そこまで気づくことができず、申し訳ありませんでした」と話してくれたのです。
先生は翌日、すぐに席の配置を調整してくれました。男の子との関係がこじれてしまわないよう、クラス全体での席替えをしていただけたとのこと。するとその数日後、娘はお迎えのときにもニコッと笑顔で走ってくるように。先生に話を聞くと、娘に話しかけていた男の子は、おしゃべりが大好きな子だそう。早く食べてたくさんおしゃべりをしたい男の子とは反対に、娘はマイペースに食事をするタイプなので、男の子のペースについていけなかったのでしょう。席を変えてもらい、娘は「今日ね、全部給食食べられたよ!」とうれしそうに報告してくれました。
子どもの不調は、環境や人間関係が影響することもあるのだと、今回のことで学びました。ボランティアで教室に入ったママ友のひと言がなければ、娘が給食を残す本当の理由を知ることはできなかったかもしれません。娘が園で安心して過ごせるように、目に見える変化だけでなく、娘の正直な思いをしっかり聞き出せるような日ごろのかかわりを大事にしようと気づけた出来事でした。
著者:井島りほ/30代・ライター。小学1年生の息子と、4歳の娘を育てるママ。おしゃべりが大好きで寝るのが苦手な兄妹と、にぎやかな毎日を過ごしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)