義母の味見
出産後、義母が頻繁に訪ねてくるようになりました。ありがたい反面、当時の私にはそれが負担でした。
私が作った離乳食を見ては「これだけで足りるの?」と心配そうに覗き込み、キッチンに立つとすぐ横に来て、私の手元をじっと凝視するのです。味見をしては「ふーん、なるほどね……」と意味深に呟く義母。その反応を見るたび、私は自分のやり方を否定されているようで、胸がざわついていました。
「私はダメな母親だと思われている。きっと義母に監視されているんだ」
そう思い詰めていたある日、ついに耐えきれず尋ねました。
「お義母さん、私のやり方、何かおかしいでしょうか?」
責めるような口調になってしまった私に、義母はハッとして、申し訳なさそうに視線を落としました。
「ごめんなさいね。嫌な思いをさせていたわね。……実はね、あなたの手際の良さを見ていたら、自分が恥ずかしくなっちゃって」
義母は震える声で続けました。
「私、昔から自分の味覚にも家事にも自信がなくて……。あなたが丁寧に作っているのを見ると、『私のときはこんなにちゃんとしてなかった、間違ってたのかしら』って、なんだか落ち込んじゃったの。つい味見をしては、自分の味と比べて答え合わせをしていただけなのよ。味見して、あなたの味付けの良さに感心したわ。言葉が足りなくてごめんなさいね」
その言葉を聞いた瞬間、胸のつかえがすっと取れるのを感じました。義母のあの「監視」のような視線は、私を否定するためではなく、自分のやり方に自信が持てないがゆえの、ただの確認だったのです。
私の余裕のなさが、義母の焦りを攻撃と誤認させていたのかもしれません。理由が分かると、あんなに重苦しく感じていた義母の視線も、今は「自信がないなりに、一生懸命学ぼうとしている姿」に見えてきました。それからは、あえて私から「これ、味どう思いますか?」と頼るようにしました。今では、お互いの弱音を吐き出せる、程よい距離感の関係になれています。
著者:山本さくら/30代女性/1歳の男の子を育てる母です。義実家とは車で30分ほどの距離に住んでいます。穏やかな性格ですが、義母との距離感にはいつも悩んでいます。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)
※AI生成画像を使用しています
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