着席後、赤面する事態になったワケ
それは、前から楽しみにしていた屋内シアター型のショーでのことでした。開演の30分前には入場し、空いていた中央あたりの席に腰を下ろして、娘と「ここ、見やすいね」とご機嫌で開演を待っていました。私もようやく一息ついていたのですが、開演直前になって、一人の30代ぐらいの男性がお2人近づいてきたのです。
「あの、すみません、そちらは私たちの席だと思うんですが……」
そのうちのお一人の、控えめでありながらも困ったようなその声にドキッとしました。
でも、自分たちもきちんとこの席のチケットを取っているはずです。
「えっ、何を言っているんだろう?」と不思議に思いながら、カバンからチケットを取り出して確認しようとしたその時でした。
すると、もう一人の男性が申し訳なさそうに、「実は我々、団体でここからこっちの列をすべて確保しているんです」と教えてくれました。
ハッとして周囲を見渡すと、いつの間にか通路には学生さんたちがずらりと並んでいて、私たちは完全に彼らに囲まれる形になっていたのです。声をかけてきたお2人は、学生さんの引率をしている教員の方でした。どうやら修学旅行中とのことでした。
チケットの座席番号をしっかり確認せず、「たしかこのあたりだよね」と思い込みで座ってしまっていたことに、ようやく気がつきました。
しかも私たちが座っていたのは、ど真ん中の中央席です。目立つ場所だったからこそ余計に、大勢の生徒さんたちを待たせてしまった申し訳なさと、自分の確認不足が恥ずかしくて、顔が一気に熱くなるのを感じました。
娘は何が起きているのかわからず、きょとんとした表情を浮かべています。
「ごめんね、お席を間違えちゃったみたい」と娘に声をかけながら大急ぎで荷物をまとめ、照明が暗くなり始めた会場内を慌てて移動することになりました。チケットの番号を頼りに本来の自分たちの席へ向かうと、そこは後方の端の方で、先ほどの中央席よりステージが少し見えづらい位置になってしまったのです。
娘は「さっきのお兄ちゃんたちの仲間、いっぱい来たね」と無邪気な様子でしたが、私は自分の不注意がいたたまれず、しばらくの間はドキドキして落ち着きませんでした。
この出来事があってから、チケットの座席番号は、会場に入る前にもう一度必ず確認するよう心がけています。子どもと一緒のお出かけは、荷物の管理やトイレのタイミングなどで、どうしても気持ちが焦ってしまうもの。だからこそ、自分の思い込みだけで行動せず、ひと呼吸置いて確認する時間が大切だと痛感しました。今では娘にも「チケットの番号とお席の番号を、一緒に見てみようね」と声をかけるようにしており、二人でしっかり確認してから座るのが、私たちの新しい習慣です。
著者:沼田亜希/30代女性/スーパーでパート社員として働いている。2児の母。
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)