両家顔合わせの日に段ボール箱!?
事件の引き金は、座ってすぐの手土産交換でのことでした。私の両親が差し出したのは、数週間前から予約していた桐箱入りの最高級和菓子。それに対して、彼の両親が満面の笑みで差し出したのは、地元で獲れたばかりの巨大な梨が詰まった、むき出しの段ボール箱だったのです。その瞬間、父の眉がピクリと動くのを私は見逃しませんでした。すると父が「これは、そのままお持ちになったのですか?」と一言。父の静かな、でも拒絶を含んだ声が響き、部屋の温度がスッと下がった気がしました。彼のご両親は「一番美味しい状態を食べてほしくて!」と説明してくれ、純粋な善意だったのですが、私の父にとってはそれが無作法でしかありませんでした。
そこからは、お互いの常識という名のナイフを突きつけ合うような、地獄の時間です。運ばれてくる繊細な料理の味なんて全く分からなくて、立ち上るお吸い物の湯気が、寂しく見えたのを覚えています。
◇ ◇ ◇
結局、あの場は私と彼がこの梨、実はすごく希少なんだよ!と大袈裟にフォローして、なんとかお開きにしました。後日、父には彼のご両親の飾らない善意を、彼には父が形式を通して敬意を示そうとしていたことを、少しずつ伝えていきました。この経験で学んだのは、正しさは人の数だけあるということ。自分の物差しだけで測らず、相手の背景を想像できる心の余白を、これからも大切にしたいです。
著者:山中彩花/30代女性・主婦/結婚5年目の主婦です。幼稚園児の娘とK-POPを聴く毎日です。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)