見てしまったマウントママの本当の姿
娘が幼稚園に通っていたころ、同じクラスに少し付き合い方の難しいお母さんがいました。
「うちは夫が外資系企業に勤めているから、私は働かなくていいの」と、何かと生活のゆとりをアピールされることが多かったのです。彼女はいつも素敵なブランドのバッグを手にしており、ランチ会のお店を決める時も「お手頃すぎるお店は、ちょっとお口に合わなくて」とおっしゃっていました。そのため、周りのお母さんたちも対応に少し戸惑うことがあったのを覚えています。
そんなある日、私は少しでも家計の足しになればと思い、近所のスーパーのバックヤードでパートを始めることにしました。初出勤の日、作業場に入った私は驚いて思わず足を止めてしまいます。
なんとそこには、お店の制服を着て黙々と魚のパック詰めをしている彼女の姿があったからです。あまりのことにどうしていいかわからず、声をかけるべきか迷いました。ただ、彼女が集中して作業をされていたため、その場はそっと気づかないふりをしてやり過ごすことにしたのです。
それから数日後、幼稚園の送迎での出来事です。彼女が相変わらず「専業主婦は自分の時間が持てて優雅よね」と周りにお話しされていました。すると、その様子を見ていた別のお母さんが「そういえば〇〇さん、あそこのスーパーで働いてるって噂で聞いたよ。人違いかな?」と、笑顔で尋ねたのです。
その瞬間、彼女は顔を真っ赤にして焦り始めました。
「あ、あれは社会科見学というか……」と慌てた様子で言葉を濁し、そのまま足早に去っていってしまったのです。
それ以来、彼女がご自身の生活について自慢されることはなくなりました。優雅な生活を演じるために、きっと見えないところで無理を重ねていらっしゃったのだと思います。
この出来事を振り返るたび、自分を大きく見せようと背伸びをするのは、かえって自分自身を苦しくしてしまうのかもしれないと感じます。誰かと比べるのではなく、ありのままの等身大の自分で毎日を過ごすことが、一番心穏やかにいられるのだと思っています。
著者:桜井美穂/30代女性/小学校1年生の娘を育てるパート主婦。趣味はカフェ巡りと、娘と一緒に季節の折り紙を折ること
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)