世間体ばかりを気にする夫
少しずつ暖かくなってきた3月の休日。私の天敵である花粉が本格的に飛び始める時期に入りました。花粉症の薬を飲まないと生活に支障が出るほど症状が重い私は、この時期はいつも鼻づまりで寝不足。しかしそんな状況もおかまいなしなのが1歳の娘と4歳の息子です。外遊びが大好きな2人は「公園行きたい!」と元気いっぱい。そこで私は、マスクと花粉対策ゴーグルをつけての万全装備でお出かけすることに。
公園から帰宅すると、早く仕事が終わった夫が自宅に帰っていました。しかし私の姿を見るなり「なんだその格好。よくそんな恰好で外出られるな」と言います。「花粉症だからしょうがないでしょ」と言うと「違う! 俺が『変な恰好した奥さんをもつ男』ってご近所さんたちに思われたら恥ずかしいって言ってんの! もっと身なりに気をつかえよ」と鏡の前で自分の髪を整えながら言い放ったのです。
私の体調よりも自分の世間体を気にする夫に腹が立って言い返そうとしたそのとき、息子が「パパ、お土産だよ」と言い、公園で見つけたねこじゃらしで夫の顔をこちょこちょし始めました。「やめろ~」と息子と遊んでいた夫でしたが、急に「待って、目がかゆい!」と言い始め、鏡で顔を確認すると目が真っ赤に。「あぁああ! かゆい! かゆい!」と悶絶。鏡を見ると目は真っ赤です。あまりの騒ぎように急いで病院へ向かいました。そして検査を終えると、医師から「花粉症のようですね」と診断されたのです。
実は最近、夫は目をこすったり、くしゃみをする回数が増えたりして花粉症のような症状が出ていたのですが、「花粉症なんて、俺はそんなに軟弱じゃない」と認めようとしませんでした。医師は続けて「よくここまで自覚なく過ごしていましたね。数値的にはかなり重いレベルですよ」と告げたのです。
あんなに「自分は軟弱じゃない」と否定していた夫でしたが、医師にはっきり言われたことでようやく自分の状況を認めたようでした。これまで「気のせい」で片づけていたかゆみや鼻水が、自覚した途端に一気に現実味を帯びて襲ってきたのです。
翌朝、夫は鼻を真っ赤にしながら、私が使っていた予備のゴーグルとマスクを引っ張り出してきました。「悪い、これ借りるわ……。背に腹は代えられない」と、昨日の威勢はどこへやら。すると息子が「パパの恰好、変なの! 恥ずかしいから、一緒に歩きたくない!」と言い放ちました。
ショックを受けた夫は「そんなこと言うなよ、パパは今つらいんだぞ!」と反論。しかし息子は不思議そうに「えー? だってパパ、昨日ママに言ってたじゃん。その恰好は恥ずかしいから、ちゃんとしなさいって」と言ったのです。
自分の放った言葉が、そのままブーメランのように自分に返ってきた夫は、顔を真っ赤にしていました。私は息子の前にしゃがみ、「パパにそんなこと言っちゃダメだよ。このメガネとマスクはね、自分の体を守るための大切な準備なの。ママのときも、今のパパも、恥ずかしいことなんて一つもないんだよ。誰かがつらいときは、助けてあげようね」と話します。
息子は少し考えたあと、「そっか……。パパ、ごめんね。おめめ、よくなるといいね」と夫の足に抱きつきました。夫はハッとした表情で私を見て、消え入りそうな声で「……ごめん。あんなこと言って、本当に悪かった」と謝ってくれました。
それまでは一人で花粉と戦っている気分でしたが、今は夫がよき理解者に。「今日は飛散量が多いから、洗濯物は中に干そうか」「この薬、眠くなりにくいみたいだよ」と、お互いの体調を気遣い、悩みを分かち合えるようになりました。
当事者にならないと、花粉症のつらさはなかなか実感しにくいかもしれません。しかし目の前に苦しんでいる人がいれば、寄り添うやさしさは必要だと思います。世間体を気にしたり自分のことばかりを考えたりするのではなく、夫婦で歩み寄り、お互いの悩みを分かち合うことが大切だと思った出来事でした。
著者:木村凛/30代・ライター。4歳と1歳の兄妹を育てる転勤族ママ。繊細な長男と怖いもの知らずな娘の対応に追われる毎日。早く子どもを寝かせて自分磨きの時間も大事にしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)
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