「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。今回は妊娠中の湿布に関するご質問です。
Q.妊娠中に湿布を使用しても大丈夫でしょうか?
昨日の夜に玄関の段差から落ちて右足首を捻ってしまいました。おなかをかばってしまったためなのか足首が腫れ歩くのもやっとでつらい状態です。痛すぎるので湿布を貼っていいのか産婦人科に聞いたところダメとのことで、朝まで冷やしていましたが、痛みがおさまらないので整形外科に行って診てもらいました。骨には異常なく捻挫でしたが、腫れが酷いのでフェルビナクテープを処方されました。薬剤師さんは妊娠中でも大丈夫とのことでしたが、使っても大丈夫なんでしょうか?
在本祐子助産師からの回答
該当薬に関しては、医師が処方し、薬剤師が調剤してお渡しした薬であれば、心配はないと思いますよ。特に妊娠中は薬に関してご不安があると思います。妊娠中や授乳中の薬剤については、国立成育医療センターが相談窓口を持っています。そこのホームページ上においても、局所外用薬は心配が少ないと記載されます。また具体的に個別相談もできます。よかったらご利用くださいね。
※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー
※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください
妊娠中の湿布の使用について
妊娠中に湿布を使う場合は注意が必要です。湿布には、痛みをおさえる効果をもつ鎮痛剤の成分が含まれています。鎮痛剤の成分は、湿布を貼った患部の皮膚から吸収され、痛みを和らげる効果があります。妊娠中にお母さんが湿布を使った場合、湿布を貼った皮膚からお薬の成分が吸収されて、その成分の一部がお母さんの血液に混ざって全身を巡り、胎盤を通過して、赤ちゃんの体へたどり着きます。
湿布に含まれる代表的な成分は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)という成分ですが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、赤ちゃんの心臓に影響を及ぼすことがわかっているため、妊娠中は下記の成分が含まれる湿布は使ってはいけません。
【非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) の成分名】
・ロキソプロフェンナトリウム水和物
・ケトプロフェン
・インドメタシン
・フェルビナク
・ジクロフェナクナトリウム など
妊娠中に耐えがたいほどの肩こりや腰痛に悩む場合は、自己判断で市販の湿布は使わず、医師や助産師へ相談しましょう。妊娠前から関節リウマチなどで、日常的に湿布を使っている場合は、痛みを和らげる方法を主治医と相談しましょう。
上記の鎮痛剤の成分が含まれていない湿布、冷却機能のみの湿布は妊娠中に使っても大丈夫です。おすすめはしませんが、応急処置としてやむを得ず市販の湿布を購入する場合は、必ず薬剤師へ妊娠中であることを伝え、相談してから購入しましょう。また、自宅に常備している湿布を使う場合は、上記の成分が含まれていないことを必ず確認してから使いましょう。
妊娠中に湿布を使った場合の影響は?
妊娠中期(妊娠16~27週)に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれている湿布を使った妊婦さんに、羊水過少(通常よりも羊水の量が少ない状態)が起きたケースが報告されています。また、妊娠後期(妊娠28週以降)に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれている湿布を使ったことで、おなかの中の赤ちゃんに胎児動脈管収縮(赤ちゃんの心臓にある動脈管という大切な血管が収縮して、心不全や全身にむくみが生じやすい状態)が起きたケースが報告されています。(※1)
この報告をふまえて、産婦人科では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含まない湿布を処方するように対応しています。産婦人科以外の診療科を受診して、もし湿布を処方された場合には、成分について必ず医師や薬剤師に確認しましょう。
妊娠に気づく前から日常的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の含む市販の湿布を使っていた、あるいは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の含まれる湿布だと知らずに使い続けていた場合には、医師へ相談しましょう。
※参考:基礎知識(妊娠中)「【医師監修】妊婦さんは湿布を使っても大丈夫? 妊娠中に湿布を使う場合の注意点」【監修:医師 太田 篤之 先生 産婦人科 | おおたレディースクリニック院長】
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