地獄の飲み会と「辞めろ」コール
ある金曜日の夜、部署の親睦会でのことです。上司は先に帰り、現場のメンバーだけになった二次会で、営業グループのリーダーであるA山さんが僕に絡んできました。
「お前さ、いつも涼しい顔してパソコン叩いてるけど、お前の仕事って楽そうでいいよなw」
それを合図に、A山の太鼓持ちである同僚たちもニヤニヤしながら僕を囲みました。A山さんはさらに声を張り上げます。
「俺らが営業で必死に稼いできた売り上げが、お前みたいな裏方の給料に使われると思うと腹立つわ〜!わざわざ深夜に一人で残って、こそこそ残業代稼ぎやがってよ。お前がいなくても、この部署は回るんだわ!」
ついには手拍子とともに、信じられないコールが沸き起こったのです。
「辞・め・ろ!w 辞・め・ろ!w」
僕に向かって「辞めろコール」を連呼するA山たちのグループ。周囲の他部署の人たちはドン引きしていましたが、酔った彼らは止まりません。
「……皆さん、本気でそう思っているんですね?」
僕が静かに尋ねると、A山さんは爆笑しながら答えました。
「当たり前だろ! お前みたいな無能、いなくなった方がせいせいするわ!w」
その瞬間、僕の中で何かがプツンと切れました。
「丁度良かったです」翌朝の反撃
週明けの月曜日。僕は出社して早々、上司のデスクへ向かいました。
「これを受け取ってください。今月末で退職させていただきます」
差し出したのは一通の「退職届」です。事情を聞いた上司は絶句しました。
「えっ!?A山たちがそんなことを言ったのか!? そんなの会社としては全く望んでいないぞ! むしろ君にはずっと残ってほしいと思っているんだ!」
上司は必死に引き止めてくれましたが、僕の決意は変わりません。
「ありがとうございます。でも、A山さんたちの『お望み通り』にさせていただきます。実は他社から好条件で誘われていたので、丁度良かったです」
直後、上司は猛烈な勢いでA山たちを会議室へ呼び出しました。
「お前ら、会社にとって不可欠な人間をなんて理由で追い出したんだ!」
上司の怒号が響き渡り、勝ち誇っていたA山たちの顔が、みるみるうちに青ざめていくのがわかりました。
崩壊する現場と自業自得な結末
A山さん達からは「すまない、あれは冗談だった。辞めるだなんて言わずに助けてくれ」と形だけの謝罪を受けましたが、僕は一切応じませんでした。
そして僕が会社を去ってから、わずか数日後のことです。僕のスマホには、A山さんから100件を超える着信と悲鳴のようなメールが届き始めました。
「頼む、戻ってくれ! システムが止まって、俺の担当先から賠償請求されそうなんだ!」
「お前の後任がマジで無能すぎる!頼むから助けてくれよ」
実は、基幹システムの裏側は僕一人で支えていたのです。自身のスキルを高めるため、密かに最新技術の習得に励んできた僕の仕事を、彼らは「誰でもできる」と侮りました。その結果、自ら「辞めろ」と追い出したのは彼ら自身です。
僕は一度だけ、「引き継ぎは十分行いました。あとは優秀な皆さんの力でなんとかしてください」と返信し、すべての連絡をブロックしました。
その後、トラブルへの対応ミスでA山さんのグループは大損害を出し、会社から「不当な言動で貴重な人材を流出させ、多大な実害を与えた」として、A山さんには重い処分が下されました。
結局、A山さんのグループは解体。A山さんは降格となったそうです。
一方の僕は、僕のスキルを正当に評価してくれる新しい職場で、以前より高い年収と心穏やかな毎日を手に入れています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。