突然の夫からの暴言
そんなある日のこと。
前夜は双子の夜泣きが重なり、私はほとんど眠ることができませんでした。朝、重い体をどうにか起こしたものの、どうしてもお弁当と朝食を一から手作りする時間と体力が残されておらず、やむを得ず冷凍食品に頼ることにしました。
いざ食卓に並べた朝食と手渡したお弁当を見た夫は、あからさまに不機嫌な顔をして言い放ちました。
「何この朝飯? お弁当も冷凍食品ばっかりじゃないか。ずっと家にいる専業主婦なんだから、これくらいちゃんとやれよ」
私は寝不足で思うように動けなかったことを説明し、心の中で申し訳なく感じていた気持ちも伝えようとしました。しかし、夫は私の言葉を遮り、さらに冷酷な言葉をぶつけてきたのです。
「俺が養ってやってるから、お前は家で楽できてるんだろう? 手抜きされるくらいなら、もう家事も何もするな。まともにできない専業主婦なんて、存在価値ないからな」
その瞬間、頭の中が真っ白になりました。毎日必死に双子と向き合い、家事との両立に追われながら頑張ってきた私の毎日は、夫にとって「楽をしている」ようにしか見えていなかったのです。悲しいを通り越して、もう何も言う気になれませんでした。
何もするなと言うのなら、もうしません。そう心を決めた私は、夫に「了解♡」とだけ返したのです。
子どもたちを守るための決断と、実家への避難
その後も夫の暴言は続き、なんとか耐えようとしましたが、いつか私の心は完全に壊れてしまうかもしれないと感じるようになりました。そして何より、余裕をなくした自分が、最愛の子どもたちにまでイライラをぶつけてしまうような未来がひどく恐ろしかったのです。
私は実家の母に連絡を取り、これまでの夫の態度や今回の出来事をすべて打ち明けました。母は私の話を静かに聞き、すぐに実家へ戻ってくるよう温かく迎え入れてくれました。
「この家にはもう私の居場所はない」
そう悟った私は、夫の言う通りこの家での「家事」を終わらせる決意を固めました。荷物をまとめ、そしてあらかじめ記入しておいた離婚届をリビングのテーブルに静かに残し、自宅を後にしました。
母の反撃と追い詰められる夫
実家に到着し、両親のサポートを受けながら少しだけ張り詰めていた糸が緩み始めたころ、仕事から帰宅した夫から嵐のような連絡が入り始めました。
「何で家にいないんだ! 飯もできてないし、どういうつもりだ!」
「早く帰ってきて家事をしろ! 離婚届なんて冗談も休み休み言え!」
焦りと怒りが入り混じった高圧的な態度に、私は身震いが止まりませんでした。すると、見かねた母が私の代わりに電話に出てくれたのです。
「あなたが娘をどれだけ追い詰めていたか、分かっていますか? 育児の大変さを理解しようともせず、一方的に価値がないと切り捨てるような方とは、もうお話しすることはありません」
母の毅然とした態度に、夫はしどろもどろになりながらも「俺は家族のために働いているんだ」と言い訳を繰り返したようです。
その後、事態は思わぬ方向へ動きます。母が義両親にもこれまでの経緯を包み隠さず報告してくれていたのです。事実を知った義両親は激怒し、すぐさま夫を厳しく叱責しました。
「実の妻子をないがしろにするような情けない息子に育てた覚えはない! そんな身勝手な振る舞いは絶対に許さない!」
自分の両親からまでも見放され、味方が誰一人いなくなった夫は、ようやく自分のしでかしたことの重大さに気づき、言葉を失ったそうです。
新たな一歩を踏み出した、穏やかな日常
その後、義両親からの強い働きかけもあり、事態は速やかに進展しました。弁護士を通じての話し合いの末、夫もようやく現実を受け入れ、無事に離婚が成立。慰謝料と子どもたちの養育費についても、しっかりと取り決めを交わすことができました。
夫は自業自得とはいえ、家族を失い、身内からも愛想をつかされ、孤独な生活を送っていると風の便りに聞きました。慰謝料や養育費の支払いもあり、金銭的にも決して楽ではない日々を過ごしていることでしょう。
一方の私は、実家で両親の手厚いサポートを受けながら、子どもたちとの穏やかで笑顔あふれる日常を取り戻しています。あの時、追い詰められた状況の中で、自分と子どもたちを守るために一歩踏み出す決断ができて本当に良かったと心から思っています。これからは、周りの愛情に支えられながら、子どもたちと一緒に前を向いて歩んでいくつもりです。
◇ ◇ ◇
育児という未知で正解のない日々の中で、パートナーからの理解や労りの言葉は何よりも心の支えになるものです。仕事と家事・育児、それぞれ担う役割は違っても、そこには「どちらが偉い」という優劣はありません。
お互いの大変さを想像し、感謝の気持ちを言葉にして伝え合うこと。そして、一番の味方であるはずの家族だからこそ、思いやりのある関係を築いていきたいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。