挨拶もそこそこに、始まった品定め
彼の実家に到着するなり、ご両親は開口一番で息子の自慢話。彼は国内でも有名な難関大学を出ており、2人の兄も同じ大学の出身です。ご両親にとってそれが何よりの誇りのようで、幼少期からの英才教育について延々と語り始めたのです。
そして話題は、当然のように私の出身大学へ……。私は学歴が人の価値を決めると思っているわけではありませんが、聞かれた以上は正直に答えるしかありません。海外の大学を卒業したことを伝えると、2人は顔を見合わせて鼻で笑いました。
「聞いたことない大学ね?」「それは、どこの大学なの?」それだけにとどまらず、「ありもしない大学名を出してごまかすつもり?」と、私が経歴を詐称しているかのように疑いはじめる始末。最終的には「どこの馬の骨かわからない人との結婚は……ねえ??」と冷たい視線を向けられ、重苦しい空気の中で彼の実家を後にすることになりました。
華麗な手のひら返し……!
初対面での理不尽な扱いに、私はすっかり意気消沈……。しかし、彼が両親を説得してくれ、後日改めて食事の場を設けることになりました。
案の定、ご両親は「三男の嫁には相応の品格が……」と、またしても学歴マウントを始めます。するとその時、彼のお父さんが最近チェックしたというニュースサイトの話題を得意げに話し出しました。
「最近、経済誌でも特集されていたあの海外の大学、すごいらしいじゃないか。著名な実業家たちがこぞって絶賛していて、今や世界トップクラスの教育機関だとか。海外の大学なら、わけのわからないところじゃなくて、これくらいじゃないとなぁ?」
あまりの節操のなさに私が言葉を失っていると、隣で黙って聞いていた彼が、静かに、そしてスマートにこう告げたのです。
「それ、彼女の母校だよ。前にも言ったはずだけど、ちゃんと聞いてなかったの?」
ご両親は一瞬で絶句し、みるみる顔をこわばらせました。自分たちがばかにしていた相手が、実は自分たちが羨望のまなざしを向ける大学の出身だと知って、自慢のプライドが音を立てて崩れていくのが分かりました。しかし、恥をかかされたと感じたのか、今度は「日本の文化を忘れている」「派手な教育はうちの家風に合わない」と、支離滅裂な悪態をつき始めたのです。
自慢の息子からの「決別の言葉」
どんなに歩み寄ろうとしても、自分たちの価値観の枠に収まらない相手を徹底的に排除しようとするご両親。その様子を冷めた目で見ていた彼が、ついに静かに立ち上がりました。そして、氷のように冷たい声で口を開いたのです。
「もういいよ。兄さんたちが実家を捨てた理由、今やっと確信した」
驚くご両親をよそに、彼は言葉を続けました。「学歴という薄っぺらい看板でしか人を判断できないなんて、同じ家族として恥ずかしい。俺は親の見栄を満たすための道具じゃないし、大切な人を傷つける人は、親であっても許さない。もう二度と、俺たちの生活に干渉しないでくれ」そうはっきりと宣言し、彼はその場で絶縁を突きつけました。
後から聞いた話によると、2人の兄も同じように、交際相手の学歴や家柄を細かく品定めされ、親の異常な干渉に耐えきれずに縁を切ったそうです。ご両親は過去の失敗から何も学ばず、最後に残った息子からも完全に見放されることになったのでした。
その後、自分たちだけで無事に婚姻届を提出し、今でもご両親とは一切連絡を取っていません。いざという時に私の味方でいてくれた彼には、心から感謝しています。
◇ ◇ ◇
努力して得た経歴は素晴らしいものですが、それを他人の価値を決めつける物差しにしてはいけません。学歴や肩書に左右されるのではなく、その人自身の人柄や誠実さを大切にできる人間でありたいですね。