養育費のルールはどう変わった?
今回の法改正で変わったポイントは、大きく2つあります。
事前の取り決めがなくても請求可能に(法定養育費)
これまでは、離婚時に夫婦間で合意するか、家庭裁判所で決定しない限り、養育費を請求することはできませんでした。
しかし新制度では、具体的な取り決めがなくても、子ども1人あたり「月額2万円」を請求できるようになります。さらに、離婚時までさかのぼって請求できる点も大きな特徴です。
未払い時の「差し押さえ」がより身近に
養育費には「先取特権」が認められ、相手に借金がある場合でも、子どもの養育費を最優先で回収できるようになりました。
また、これまでは裁判所の判決や公正証書が必要だった給与の差し押さえが、父母間で作成した合意書のみで申し立て可能になります。手続きのハードルが下がったことは、大きな前進といえます。
ただし、法定養育費が請求できるのは、2026年4月1日以降に離婚したケースに限られます。それ以前に離婚した場合は対象外です。また、子どもが18歳になるまでが請求の対象期間です。
法定養育費はあくまで「正式な取り決めができるまでのつなぎ」という位置づけ。月2万円は最低限の金額であり、実際の生活費や教育費を考えると十分とは言えません。本来は、双方の収入や子どもの年齢に応じた適正な養育費を別途取り決めることが大切です。
では、こうした制度変更を、ママたちはどう受け止めているのでしょうか。ベビーカレンダーではママ276名を対象にアンケートを実施。養育費と離婚に対する本音を聞きました。
養育費が確実にもらえるなら?「離婚しやすくなる」が67%

まず注目したいのが、「養育費が確実に受け取れるとした場合」離婚を選択しやすくなると思うかを聞いた結果です。「とても変わると思う」(32.2%)と「どちらかというと変わると思う」(34.8%)を合わせ、67.0%が「離婚を選択しやすくなる」と回答しました。
「確実にもらえる」という前提が加わるだけで、約7割のママが「変わる」と答えたこの結果。裏を返せば、養育費の不確実さこそが離婚を思いとどまらせる大きな壁になっていると考えられます。
では、今回新設された法定養育費によって、この「不確実さ」は解消されるのでしょうか。
お金の不安は軽くなる? 評価は拮抗!約半数が「実際に支払われるか」に不安

法定養育費の新設はどこまで効果があるのか。養育費を請求しやすくなることで、離婚後のお金の不安は軽くなると思うかを聞きました。
「軽くなると思う」が51.8%と過半数を超えた一方で、「あまり変わらないと思う」が40.9%とほぼ同水準。「むしろ不安がある」という人も7.2%いました。
「あまり変わらない」と答えたママの背景には、「制度があっても実際に支払われるかは別の問題」「そもそも相手に経済力がないと養育費を払えない」という根強い不信感があるようです。
「あまり変わらない(40.9%)」と「むしろ不安がある(7.2%)」を合わせた約半数(48.1%)が、制度ができても「実際にちゃんとお金が振り込まれるかどうか(実効性)」が伴わなければ意味がないと、慎重に考えていることがわかります。
「確実にもらえるなら離婚しやすくなる」と答えたママは67%。しかし、法定養育費という制度ができたことで「不安が軽くなる」と答えたのは51.8%にとどまりました。この15ポイントの差が示しているのは、ママたちが求めているのは制度の存在ではなく、「本当に払われるのか」という実効性だということです。
そもそも、ママたちにとって離婚と「お金」の問題はどれほど大きいのでしょうか。
離婚でもっとも不安なのは「お金」が50.7%で圧倒的1位
「万が一離婚を考えたとき、もっとも不安に思うことは何ですか?」と聞いたところ、「お金」が50.7%で圧倒的な1位に。2位の「子育て」(24.6%)の約2倍という結果になりました。
「手続きや話し合いの負担」(9.8%)、「相手ともめること」(6.9%)が続き、「不安はない」と答えたのはわずか2.9%でした。

離婚に際する養育費やお金の面で不安に感じていることを尋ねる設問では、さまざまな声が寄せられました。一部を紹介します。
・入学金や維持費生活費など不安要素しかない(30代・子ども4人以上)
・子どもと過ごす時間と金銭面を天秤に掛けなければいけないこと(30代・子ども3人)
・養育費が確実にとれるとしても、いくらになるのか、大学進学費用や塾のお金などはどうなるのか。払ってもらえるのかが心配。(40代・子ども1人)
これらの回答からも、離婚における最大の壁が「お金」であることは明確です。だからこそ、冒頭の「確実にもらえるなら67%が変わる」という数字の重みが際立ちます。制度ができたことは一歩前進ですが、その実効性が問われているのです。
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今回の法改正で、養育費は「話し合わなければもらえないもの」から「当然の権利として守られるもの」へと変化しました。
月2万円の法定養育費は、決して十分な額ではありません。しかし「相手と交渉するエネルギーがないときでも、最低限の権利を即座に行使できる」という点は、精神的な支えになるはずです。
万が一“離婚”という選択肢が目の前に迫ってきたとき、この制度を「最初の一歩」として活用しつつ、自治体の相談窓口や弁護士などの専門家を頼りながら、お子さまとママの未来を守るための「実効性のある備え」を整えていくことが大切なのではないでしょうか。
■調査概要
調査タイトル:離婚に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2026年3月29日~4月5日
調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用した方
調査条件:1人以上お子様がいらっしゃる方 276名