前回は父親の主体的な子育て参加についてお伝えしました。今回は、ぜひお父さんはこれを意識してするといいよというお話しをしたいと思います。
自分の父親からなかなか学ぶことができない現代の父親
子育てはいろんなものが先入観となりがちです。なかでも自分の育ってきた環境や、自身の親から受けた影響は大きいものがあります。
今の子育てしている人のその親の世代では、父親が子育てにほとんど参加しなくても当然と考えられていた時代ですので、現代の父親にとっては自身の親の姿からはなかなか気づけないことがたくさんあります。
肌が触れ合う皮膚感覚のお世話で子どもとの信頼関係を構築
僕が、ぜひとも現代のお父さんたちにしてもらいたいと思うことが皮膚感覚のお世話です。お子さんのおむつを替えたり、お風呂に入れたりといったことは比較的多くの方がしていると思います。これらもたしかに皮膚と皮膚が触れ合う皮膚感覚のお世話です。そこからもう一歩進めてもらいたいと思うのです。
例えば、爪切りや耳掃除、髪をとかしたり、髪を結わいたり、塗り薬や保湿クリームを塗ったり。
「爪切りは僕がやる仕事だよ」と爪を切るのはお父さんという習慣にしてしまったり、「あなたの肌のかゆくなっちゃうところ、お父さんが治してあげるからね」と保湿クリームを塗るなど、それくらいの勢いがあってもいいかもしれません。
なぜこうした皮膚感覚のお世話をおすすめするかというと、密接なまさに肌が触れ合う距離でのかかわりは信頼関係をとても厚くするからです。子どもからすると、「お父さんは自分に積極的で肯定的な温かい関心を持ってくれている」ということが、理屈なしに理解されます。
こうした幼少期の積み重ねは、子どもが大きくなった後でも生き続けるものです。
父親の子育てが子どもと母親にとっても後々大きな意味を持つ
これまでの子育ての感覚では、わが子が思春期になると父親は避けるものといったことが一般的に思われていたかもしれません。しかし、本当にそれはそうなのでしょうか。
たしかに、思春期というのは自立の時期ですので親に対して拒否感を感じたりすることはあるでしょう。それでも幼少期からのこうした皮膚感覚のお世話を通した信頼関係のあるなしは、ここに何がしかの影響を与える可能性があります。
このことは、さらに父親自身の人生のあり方に対しての影響へとつながってきます。
昭和の時代にありがちだった父親が子育てにあまり参加しない家族の形を作ってきてしまった男性が、リタイア後感じていることのひとつに家庭における疎外感があります。自分の居場所が家庭の中に感じられないというものですね。
そうした疎外感を、レジャーやモノを買ってあげることを媒介として補おうとしても、そうそう簡単に埋まるものではありません。
子どもの幼少期のお世話は、子どもにとっては皮膚感覚という理屈ではないところで記憶されるものです。また、母親からすると慣れない育児や出産に不安や心配のとても多い時期でもあります。このときに父親がどれほど積極的に子育てに参加していたかは、子どもにとっても母親にとっても後々になっても大きな意味を持ちます。
お世話を続けるうちに子どもからの信頼感に気づけるように
子どもへのかかわりをどうしたらいいかわからないというところで、ついつい子育てに積極的になれない人も少なくないと思います。ぜひ、できるものからでいいので皮膚感覚のお世話を意識して取り組んでみてください。
下手でいいんです。だれだって、子どもの対応は最初うまくないものです。うまくなくていいのでやってみてください。
続けている内に、子どもの様子も変わってきます。また、皮膚感覚のお世話をすることでの子どもからの信頼感というもののあることにだんだんと気づけるかもしれません。うまく言葉で表せませんが、これはとてもいいものです。
中途半端はNG!最後までしっかりやることが大事
最後にひとつヒント。夫婦間の子育てギャップとして、たくさんお母さんたちの口から聞こえてくることがあります。
それは、
「お父さんはやったつもりになっているのだけど、いつも後始末は私が大変な思いをしてやっているのよね」
というものです。
お父さんからすると、「自分は頑張っている」。
お母さんは「後始末で大変な思いをする」。
こうなってしまって、子育てにおける行き違いが生まれ、それが積み重なるとだんだん大きくなってしまいます。ですので、「最後までやる」というのが大事なポイントになりますよ。