年間約18.4万組が離婚。決して他人事ではない
この制度変更がどれほど多くの家庭に影響しうるかを知るために、まず日本の離婚の現状を確認しておきましょう。
こども家庭庁のデータによると、2023年の離婚件数は約18.4万件。注目すべきは、離婚した夫婦のうち51.4%、約9.4万件に未成年の子どもがいるということです。
毎年約9万件以上の離婚で、子どもの親権をどうするかという問題が発生しています。共同親権制度は、まさにこうした家庭に直接関わる制度改正だと言えるでしょう。
この大きな制度の変更を、子育て中のママたちはどう受け止めているのでしょうか? 276名のママを対象にアンケートを実施し、共同親権への賛否、自分が離婚するなら選ぶか、気持ちに変化はあったかなどを調査しました。
9割超のママが「気持ちは変わらない」
まず「共同親権を選べるようになって、気持ちに変化はありましたか?」と聞いたところ、93.8%が「変化なし」と回答しています。

アンケートには
「親権者にふさわしくない相手もいるので、制度が変わっても決め手にはならない」
「何がどう変わるのか、正直よくわからない」
「親権は自分が持ちたいので関係ない」
などの声が寄せられました。
一方で、少数ながら「離婚を考えるようになった」と答えたママも5.4%存在します。「ひとりで親権を背負わなくていい」という安心感が、ごく一部の家庭では離婚を後押しする要因になり得ることも読み取れます。
半数超が「離婚のハードルは変わる」と実感
では、制度変更にまったく意味がないのかというと、そうではありません。共同親権の導入や法改正によって「離婚のしやすさは変わる」と感じている人は半数を超えました。「とても変わると思う」(15.6%)と「どちらかというと変わると思う」(38.0%)を合わせ、53.6%が「変わる」と回答しています。
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「自分の気持ちは変わらない」けれど「制度としてのハードルは下がった」と感じている——。この一見矛盾するような結果は、ママたちが制度の変化を冷静に認識しつつも、自分自身の離婚については別の判断軸を持っていることを示しています。
では、その「別の判断軸」とは何なのでしょうか。
「状況による」が最多——離婚の決断は"制度"ではなく"理由"で決まる
その答えは、共同親権に対する賛否と、「自分なら選ぶか」の回答のギャップに表れています。離婚後も両親が親権を持つ「共同親権」制度についてどう思うかを聞くと、「賛成」は40.6%、「よくわからない」が42.0%、「反対」が17.4%という結果になりました。
また、賛否とは別に、もし自分が離婚する場合に共同親権を選びたいと思うかを尋ねたところ、最多は「状況による」で55.1%。「選びたい」は26.1%、「選びたくない」は18.8%でした。
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制度としての賛否を問われれば「賛成」と答えるママも、いざ自分ごととなると「離婚の理由次第」と回答。ここに、制度と本音のギャップが表れています。
「選びたい」と答えた人の声
・パパの存在を消したくない
・相手にも責任感を持ってもらいたい
・子どもには母親役、父親役の両方が必要だと思うから
▶︎あくまで離婚は親の問題であり、「離婚しても親であることに変わりはない」「養育の責任は両方が持つべき」という子ども目線の意見が目立ちました。
「選びたくない」と答えた人の声
・DVやモラハラのケースでは危険
・離婚後も揉める原因になりそう
・相手との関わりを完全に断ちたい
▶︎暴力やハラスメントがある場合のリスクや、離婚後の紛争の長期化を懸念する声が中心でした。
共同親権を「選びたい」か「選びたくない」かは、制度の良し悪しではなく、「どんな相手と、どんな理由で離婚するか」によって決まる。だからこそ「状況による」が過半数を占めたのだと言えます。
約半数が「法改正を知らなかった」——制度が届いていない現実も
ここまで見てきたように、制度変更に対するママたちの反応は「冷静」そのものです。ただ、その背景にはもう一つの要因があるかもしれません。
今回の共同親権に関する法改正を知っていたかを尋ねたところ、「知らなかった」が47.5%とほぼ半数を占めました。「なんとなく聞いたことがある」が40.2%で、「内容まで知っている」と答えたママはわずか12.3%にとどまります。
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毎年約9.4万件もの離婚で子どもの親権が問われている中、施行直後にもかかわらず内容を把握しているママが約1割という結果は、子育て世代への情報発信が十分でないことを示しています。
「気持ちが変わらない」理由の一つが、そもそも制度の中身がよく知られていないからだとすれば、今後情報が浸透するにつれて、ママたちの受け止め方も変わっていく可能性があります。
制度は変わった。でも「離婚するかどうか」は制度では決まらない
「離婚のハードルは変わる」と感じているママが半数を超える一方で、自分自身の気持ちは「変わらない」が9割。共同親権を選ぶかどうかも「状況による」が過半数。そして、そもそも法改正の中身を知っているママは約1割——。
制度が整ったことで選択肢は確かに広がりました。しかし、ママたちの回答が示しているのは、離婚という判断は制度の有無ではなく、「相手との関係」「子どもへの影響」「経済的な見通し」といった、極めて個別で具体的な事情によって決まるということです。
離婚した母子家庭で養育費を現在も受け取れている割合はわずか28.1%。ひとり親で子どもを育てている世帯のうち、約45%が経済的に厳しい状況にあります。
こうした数字が示す現実が変わらない限り、制度だけで離婚のハードルが下がるとは言い切れません。
毎年約9.4万件の離婚で子どもの親権が問われ、養育費の不払いや親子交流の断絶が常態化している日本で、共同親権という新しい選択肢がどう機能していくのか。制度はまだ始まったばかりです。
■調査概要
調査タイトル:離婚に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2026年3月29日~4月5日
調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用した方
調査条件:1人以上お子様がいらっしゃる方 276名