「未病」とは?健康と病気の間にあるグレーゾーン

では、そもそも「未病」とは一体どのような状態を指すのでしょうか。東洋医学から生まれたこの言葉は、文字通り「まだ病気ではないけれど、決して健康とも言い切れない状態」のことを指します。現代の西洋医学がおこなう検査(血液検査やレントゲンなど)は、主に「目に見える明らかな異常」を数値で判定するものです。そのため、たとえあなたが不調を感じていても、数値が基準値内であれば、診断結果は「異常なし」となってしまいます。
未病は決して「気のせい」や「甘え」などではありません。むしろ、体という「お財布」の中身が、知らないうちに空っぽになりかけている状態を、もう一度「満タン」の方へ戻していくための、体がくれた「貴重な見直し期間」なのです。
完全に底をついて「病気」という借金をしてしまう前に、少しだけエネルギーを貯めてあげることが、健やかな毎日を続けるための秘訣です。
ストレス、睡眠、食事…どこから見直すと効果的か

「自分の今の状態は、体がくれたチャンスなんだ」と気付けたら、次は具体的に何をすればいいのかを一緒に考えていきましょう!
とはいえ、「なんとなく不調」を感じたとき、あれもこれもと欲張ると長続きしません。そこで、医学的な視点から見た「見直しの優先順位」に沿って、以下の3つのポイントから少しずつ意識してみるのが最も効果的です。
【最優先】睡眠:脳と内臓の「メンテナンス時間」を確保する
不調改善の土台となるのが睡眠です。睡眠不足は、心身をコントロールする「自律神経」を乱す最大の要因。まずは「寝る1時間前のスマホ」を控えるだけで、脳の興奮が収まり、睡眠の質はぐっと変わります。まずは脳のスイッチをオフにして、体をしっかり休ませることから始めましょう。
【次に】ストレス:心の負荷を「言葉」にして整理する
睡眠の質を確保できたら、次は心のメンテナンスです。ストレスが胃腸の不調や頭痛として現れることは、決して珍しいことではありません。何が負担なのかをノートに書き出すなど、客観的に「言語化」するだけで、脳の興奮を抑え、自律神経を安定させる効果があります。
【日常の軸】食事:エネルギーの「質」と「リズム」を整える
睡眠・ストレス改善と並行して整えたいのが、体のエネルギー源です。朝食を抜いたり、糖質に偏った食事をしたりすると、血糖値の激しい乱高下を招き、「だるさ」の直接的な原因になります。まずは「決まった時間に食べる」という生活リズムを意識し、内側から安定させていきましょう。
「なんとなく不調」のセルフチェックと受診の目安

まずは、今のあなたがどのくらい「体のサイン」を受け取っているか、以下の項目を確認してみてください。
【未病のセルフチェック】
□ 朝、起きたときに「よく寝た」という実感がない
□ 以前は楽しめていた趣味に対して、あまり意欲がわかなくなった
□ 便秘や下痢など、おなかの調子が安定しない時期が続いている
□ 季節の変わり目になると、決まって体調を崩してしまう
判断の目安と、今すぐ取ってほしい行動
・1〜2個あてはまる方
「未病」の入り口にいます。まずは先ほどお伝えした「睡眠・ストレス・食事」のどれか一つから、無理のない範囲で見直してみましょう!
・3個以上あてはまる方
体が限界に近づいている可能性があります。まずは「今は無理をしていい時期ではない」と自覚することが、回復への第一歩です。ひとりで抱え込まず、今すぐ以下の行動を最優先にしてください。
1.予定を一つ削る:今週の予定を無理にでも一つキャンセルし、物理的に「体を休める時間」を作りましょう。
2.迷わず専門家に相談する:自分ひとりで解決しようとせず、医師などの専門家に今の状態を打ち明けてみてください。言葉にするだけで、解決の糸口が見えてくることがあります。
受診を検討するタイミング
チェックの数に関わらず、セルフケアを意識しても「2週間以上」不調が改善しない場合は、迷わず医療機関への受診を検討してみてください。
「検査で異常が出なかったらどうしよう」と不安に思う必要はありません。私たち医師に、「数値は悪くないけれど、こういう不調が続いていて困っている」と正直に伝えていただくことが、何より大切です。そうすることで、漢方薬の検討や専門的な生活指導など、病気になる手前での「一歩進んだケア」が可能になります。
まとめ
「未病」の段階で生活を整えることは、将来の大きな病気のリスクを減らす絶好のチャンスです。つい「気のせいかな」「年のせいかな」と片付けてしまいがちな小さな違和感も、実は体が一生懸命に送ってくれている大切なサインです。それを無視せず、今のうちに生活や働き方を少しずつ微調整していくことこそが、自分自身を一生守り抜くための第一歩になります。
自分に合ったケアを主体的に選び、日常の行動へと落とし込んでいく。このサイクルを作ることで、あなた自身の人生の質はぐっと高まります。皆さんが1年後も、その先も、澄んだ空気の中で心からの笑顔で過ごせるよう、今この瞬間から「未病ケア」という最高の投資を始めていきましょう!
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/内科医 橋本将吉 先生(東京むさしのクリニック院長)
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