緊迫の手術室で、鼓動だけが早くなる
盲腸の手術で手術台に横になったとき、私は緊張でいっぱいでした。これから体にメスが入るという事実に、心臓の鼓動は早まるばかり。しかし、麻酔が効いて意識がぼんやりしてきたその瞬間、耳に入ってきたのは思いがけない会話でした。
麻酔直前、耳を疑う生々しい失敗談
麻酔科の先生が、まるで居酒屋にいるかのようなハイテンションで、自身の合コンの失敗談を語り始めたのです。
「結局、誰が一番モテていたか」「あの瞬間の女子の反応はどうだったか」「二次会で一体何が起きたのか」
その語り口は、登場人物の顔や店の光景まで浮かんでくるほど、やけに具体的。一瞬「今、ここでその話をするの?」と驚きつつも、あまりに楽しそうな語り口に、張り詰めていた緊張は一気に和らいでいきました。
恐怖を笑いに変えた医師の日常
手術中という究極の非日常と、合コンという日常。そのあまりのギャップが妙におもしろく、意識が遠のきながらも私は笑いを必死にこらえていました。恐怖におびえるはずの時間が、先生の軽快なトークによって、不思議な高揚感へと変わっていったのです。
術後、パッと目が覚めたとき。無事に手術が終わっていたことへの安堵よりも、なぜか真っ先に思い出したのは、あの合コン話の続きでした。恐怖の記憶になるはずだった手術が、少しだけ笑える温かな思い出に塗り替えられた、不思議で忘れられない体験となりました。
まとめ
どんなに深刻な状況でも、ふとした「人間味」やユーモアが心を救うことがあります。完璧なプロの顔だけでなく、相手の緊張を解くような余裕が、恐怖を温かな思い出に変えてくれました。人を思いやる姿勢を学びました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:村田冴子/40代女性・主婦
イラスト:エェコ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)
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