私が産休に入る最終日のことでした。夫から「いいなぁ、自分だけ休めて」と冷たい言葉をかけられました。出産を控える妻にかける言葉とは思えません。
休みに入ってからも、身体が重くつわりなどの体調不良も続いていました。しかし夫は、家事の手伝いをお願いしても「自分は外回りで疲れている」と、聞く耳を持ちません。
「家にいるなら家事くらいちゃんとやれ」「妻として役に立て」と見下すような言い方をされ、私はひどくショックを受けたのです。
決定的な不信感
その1週間後、さらなるすれ違いが起きました。私が体調を崩し、家事ができなかった日の夜のことです。帰宅した夫は、掃除していない部屋を見るなり激怒しました。
体調が悪くて休んでいたと伝えても「仕事が終わらないとき、お前はごめんなさいで済ますのか!?」「妊婦だからって許されると思うな」と、ひどい言葉を次々とぶつけてきたのです。
以前、どうしても無理なときは助け合うと約束していたはずですが、夫はそれを「言い訳だ」と切り捨てました。
自分の世話を優先する夫
さらに2週間後、出産が目前に迫ったころです。実母から「産後のことも考えて、実家へ帰ってきてはどうか」と提案を受けました。
夫の家事負担も減ると思い相談したのですが、夫の反応は信じられないものでした。「俺に家事を押し付けて、自分だけ楽しようとしているのか」「俺が養っていることを忘れるな」と怒鳴り散らしたのです。
妻の体調やおなかの子の安全よりも、自分の身の回りの世話を優先しようとする夫……。私と子どもの心身が持たないと、危機を感じるほどでした。
妻の諦め
これ以上、夫に理解を求めても無駄だと思った私は、翌日、一切の家事を放棄し、実家へ戻る準備を整えました。
帰宅し、私がいないことに気付いて電話で怒りをぶつけてくる夫に対し、私は冷静に本音を突きつけたのです。「これ以上、あなたのための家事をするつもりはありません。私と離婚してください」
夫は「誰のおかげで生活できていると思っている」と声を荒らげましたが、私たちの生活は私の貯金や産休中の手当にも支えられています。
私はその現実を淡々と指摘し、夫の収入だけに依存しているわけではないことを明確に伝えたのです。
夫の末路
「おなかの子どものためにも、自分のことしか考えられない人とは一緒にいられません」
私がそう告げると、電話越しに夫は「ひとりで子どもを育てられるわけがない」と鼻で笑っていましたが、私の決意は揺るぎませんでした。
「産休に入るとき、私だけ休めていいな、って言ったよね? じゃあ、これからは一生休んでていいよ。もう他人だから」そう言い放って電話を切り、私は夫からの連絡を断ったのです。
後日、私が本気だとわかり焦った夫が実家まで押しかけてきましたが、両親が間に入り、冷静な話し合いの場を設けてくれました。
夫は、仕事がうまくいかない時期に長期の休みを取る私が羨ましくなり、あんな態度をとったと言い訳しました。うまくいかない中で育休を取る勇気もなく、私に八つ当たりしてしまったと言います。
しかし、私には受け入れられませんでした。両親の毅然とした態度と、私からの揺るがない離婚の意思表示を前に、夫も最終的に離婚に同意せざるを得ませんでした。
その後、専門家を交えて子どもの養育費などについて取り決めを行い、正式に離婚が成立。以後は夫とは一切関わらないことにしました。
聞くところによると、夫は周囲に離婚の経緯が知られたことで会社に居づらくなり、自主的に退職したようです。私は無事に出産を終え、現在は職場にも復帰して、子どもとともに穏やかな毎日を送っています。
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妊娠中の女性の体は、新しい命を育むために日々劇的な変化を遂げており、自分でもコントロールできない不調や不安と常に戦っています。だからこそ、一番近くにいるパートナーには「一緒に親になる」という強い当事者意識が求められるのではないでしょうか。
身体的なつらさを代わってあげることはできなくても、ただ寄り添って話を聞いたり、家事全般を率先して引き受けたり、妊娠・出産に関する知識を自ら学んだりすることはできるはずです。
妻の心身を守り、安心できる環境を整えることは、おなかの子どもを育むことに直結します。新しい家族をあたたかく迎えるために、夫婦で協力したいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。※AI生成画像を使用しています