デパ地下にマグロ丼の特設コーナーが
その日、デパ地下の特設コーナーを通りかかると、魅力的なアナウンスが響き渡りました。
「ただいまの時間限定! 特製マグロ丼、全品3割引きでーす!」
冷蔵ケースをのぞくと、おいしそうなマグロ丼が残り数個。コーナーには先客が1人おり、威勢の良い男性店員さんが対面で接客中でした。
私は5歳と3歳の娘たちの手を引き、「今日の夕飯、おいしいお魚にしようか! 前のお客さんが終わるまで、ここに並んで待っていようね」と伝え、先客の後ろに並びました。
娘たちも「はーい!」と、お行儀よくお留守番モードで待ってくれていた、そのときです。
先に並んでいたのに!?割り込まれ…
並び始めてすぐ、背後から60代くらいの女性が、私たちの横をすり抜けて接客中の先客の真横にグイッと割り込んできたのです。
その女性は、私や子どもたちの存在が視界に入っていたはずですが、冷蔵ケースの前へ素早く移動。そして、先客が会計を終えて去ると、満面の笑みでこう言い放ちました。
「このマグロ丼ちょうだい! 残ってるの、全部私のね♡」
あまりの勢いと図々しさに、私は呆気にとられてしまいました。
「え!? 私たちが先に並んでいたんですけど……!」
喉まで出かかったその言葉を、私は飲み込んでしまいました。なぜなら、次の瞬間の展開に完全に言葉を失ってしまったからです。
店員さんまで…まさかの対応にがっかり
女性が割り込んだことに明らかに気づいているはずの店員さんが、笑顔でこう言ったのです。
「はいよ! じゃあ、残り全部ね!」
店員さんは、並んでいる私と一瞬目が合ったにもかかわらず、それを完全にスルー。そのまま割り込み女性と「お得に買えちゃったわ~」「毎度あり!」と楽しげに会話を弾ませながら、手際よくマグロ丼をすべて袋に詰め込んでしまいました。
娘たちは小さな声で、「なんで?」「並んだのに、私たちは買えないの?」と納得いかない様子で聞いてきました。
しかし、揉め事を起こす勇気も出ず、私は「ごめんね、ちゃんと並んだのにね。売り切れちゃったみたいだから、また今度にしよう」と伝え、悔しさとモヤモヤを抱えてその場を立ち去るしかありませんでした。
わが子の純粋な正論が、胸に突き刺さる
「マグロのごはん、買えなかったね……」
次女が寂しそうに私の顔を見上げて言いました。せっかくお行儀よく待ってくれていたのに、悲しい思いをさせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいに。
すると、長女が私の手をギュッと握り、こう言ったのです。
「でもママ、ちゃんと順番こで並ばないとダメなんだよね? あのおばちゃん、並んでなかったもんね。私、ちゃんと並べたよ!」
子どもの純粋で真っ直ぐな言葉に、ハッとさせられました。
大人の都合や理不尽な割り込みにモヤモヤしていたけれど、娘は「ルールを守ることの大切さ」をちゃんと理解していて、驚くほどの成長を見せてくれたのです。
あのとき、もし私が勇気を持って「先に並んでいます」と伝えていれば、子どもたちに大人の理不尽な姿を見せずに済んだのかもしれません。自分が正しいときには、大切な子どもたちの前でこそ、毅然として声をあげる勇気を持たなければいけないなと痛感した出来事でした。
著者:堀川京香/30代女性。2020年生まれ、2022年生まれの女の子を育児中の2歳差姉妹ママ。生理不順を機に前職を退職。自身の経験を元に妊活・出産・育児について執筆中。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
※AI生成画像を使用しています