1988年のこと。あるセミナーに向かうフジ夫さんの様子を見て、だまされているのではないかと感じたフジコさんは、一緒にセミナーを受けることに。そこでおこなわれた3時間に及ぶセミナーの内容は、まるで……。
愛車が気になって…


※バック→バッグ










時は1988年バブル全盛期……。
合コンの途中で「セミナーに行く」と言う謎の男・フジ夫さん。彼が手にしていたのは、友だちがだまされたマルチ商法のバッグと同じでした。
どうしても放っておけず、やっと追いついた先は会場の入り口。
「この際、手口を見てやろうじゃない!」
と、意気込んで一緒に勧誘を受けたのですが……。
勝者とは!
月収二百万は当たり前!
君もなれるっ!
サインすれば君は勝者だ!!
地獄のような3時間にわたる勧誘の末、フジ夫さんはサイン寸前まで追い込まれていました。
「出るよ! 走れ!」とフジ夫を連れ出し、「あれ、詐欺ですよ」と伝えました。
「救っていただき、ありがとうございます。もうこんな時間だし、よかったら僕の愛車で送ります」
愛車、どんな車だろう……。
「じゃ、お願いします」
危険そうな雰囲気でもないしね……。
愛車はボロく、私が思い描いていた「愛車」とは違っていました。
さらに「車のキーがありません」
ドテ!
「タクシーで帰りましょうか……。困りましたね」
いや、「困りましたね」やあらへんがな。ちょっとは頭働かせ!
さっきの会場へ戻ると、「あった! カバンも財布も!」
財布もかよ!!
「僕は意外と忘れっぽくて、たまに困るんだ……」
たまに……?
「僕の寮に近い」
寮? こんなに不注意なのに1人暮らし?
……キュ〜ン!!!
え? 何この気持ち……。いやいや、私はイケメン3高狙いやで!
自分にこんな癖(へき)があることに気付いた瞬間でした。
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理想の条件とは違っていたのに、フジ夫さんに心を動かされたフジコさん。3高(高学歴・高収入・高身長)がもてはやされた時代だからこそ、完璧ではないフジ夫さんの危なっかしさや人柄が、かえって印象に残ったのかもしれません。
しっかり者のフジコさんが、危なっかしいフジ夫さんを放っておけず、思わず心を動かされてしまった瞬間に、こちらまで頬がゆるみました。
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