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男「もしもし、オレだけど」母「…詐欺だ!」相手が口走ったひと言で見抜いた正体とその結末

私は42歳の専業主婦で、夫と高校生の次男と一緒に暮らしています。長男のA太は最近東京の大学に進学して、家を出たばかり。いつも通りの朝、1本の電話が私の日常を揺るがしました。

 

「もしもし、オレだけど」

その日、家族を送り出してひと息ついたころ、自宅の電話が鳴りました。

 

「もしもし母さん、オレだけど……」

 

息子を名乗るその声は、どこか不自然でした。

 

「事故を起こしてしまった」「相手は歩行者で、けがをさせてしまった」――慌てた様子で話し続けますが、その内容はどこか曖昧です。思わず、「あなた、本当にA太なの?」と質問したところ「そ、そうだよ」と上ずった声の返答。

 

私はその声を聞いて、「これは詐欺に違いない」と確信しました。

 

探るうちに見えてきた正体

電話を切ろうとしたそのとき、相手が慌てたように口走った言葉に、私の手は止まりました。

 

「母さん、昔よくまんじゅう出してくれたよね」

「魚肉ソーセージのおやつ、好きだったな」

 

思わず息をのみました。それは、息子やその友だちにしかわからないような記憶だったからです。

 

そして私の頭の中には、ある人物が浮かび上がってきたのです。

 

 

名前を呼んだ瞬間、止まった時間

私は静かに言いました。

 

「あなた……B也くんでしょ?」

 

その名前を口にした瞬間、電話口の相手がぴたりと静まり返りました。

 

「こんなことしてはダメよ。今からでもやり直せるから、もうやめなさい」

 

と伝えると、電話口から小さく「……ごめんなさい」という声が聞こえてきたのです。そしてそのまま、通話は切れました。

 

B也くんはA太の同級生で、かつてよくわが家に来ていた子でした。母子家庭のB也くんは、母親の仕事で帰りが遅くなるときには、よくうちに来て夕飯を一緒に食べていたのです。あのころの記憶が、こんな形でつながるとは思ってもいませんでした。

 

B也くんのお母さんに連絡をしたほうがいいかもしれない……。そんな思いも一瞬よぎりましたが、それよりも、まずはこの状況をきちんと終わらせるべきだと感じました。

 

その後のことと、私が信じたいもの

その後、私は警察に通報しました。後日、捜査の中でB也くんは詐欺グループに関わっていたことがわかりました。彼は自ら事情を説明した上で、指導を受けることになったと聞いています。そして現在は周囲の支援を受けながら働き、少しずつ生活を立て直しているそうです。

 

あのとき、ふとこぼれた思い出話。あれは、詐欺を続けるための言葉ではなく、心の奥に残っていた記憶が思わずあふれたものだったのかもしれません。

 

人はどんな状況でも、やり直すきっかけを持てる。そう信じて、私はこれからも静かに見守っていこうと思います。

 

--------------

身近な人を装う詐欺は、ちょっとした思い込みや焦りにつけ込んでくることがあります。だからこそ、一度立ち止まって確認することの大切さを改めて感じさせられます。同時に、人はどんな状況でもやり直すきっかけを持てるのかもしれない――そんな余韻も残るエピソードでした。

 

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

 

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ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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