彼女が「運命だ」という理由は、なんと「小学生のときの作文でね、彼が私のことをすごく褒めてくれたの。それに大きくなったら結婚しようねって言い合ってたの♡ 私たちは小さいころから想い合ってたんです♡ わかってくれました? 私たちは結ばれる運命なんです」と言うのです。
彼女が本当にそう信じているのか、彼に好意があって私との結婚を阻止したいための言い訳なのか、本心はわかりません。しかし、いくらなんでも、小学生のころの話を持ち出して別れを迫るのは……。
彼にその話をすると、目を丸くして驚いていました。彼女のことはうろ覚えで、「なぜそんなに好意を持たれているのかまったく心当たりがない」と困惑するばかり。ただの嫌がらせだろうと判断し、メッセージは適当にあしらって、私たちはそのまま結婚の準備を進めていきました。
彼に執着する幼なじみを名乗る女性
それから数週間後の週末。彼は地元の友人たちに結婚祝いをしてもらうため、久しぶりに地元へ戻っていました。
私は仕事の都合で最初からは参加できなかったのですが、仕事が終わり次第、途中から合流することになっていました。仕事を終え、お店に着くと、彼は友人たちに囲まれながら、楽しそうに笑っていました。私が彼の隣に座り、友人たちにあいさつをしてひと息ついたころです。
私のスマホに、先日と同じ幼なじみを名乗る女性のアカウントから、再びメッセージが届きました。
「彼のお母様から私に連絡がありました。彼、交通事故に遭って寝たきりになってしまったそうなんです。」
「あなたには情けない姿は見せたくないって言っているみたいです。だから彼との結婚は諦めてください。」
「彼のことは私が一生お世話します」
私は思わず画面を二度見してしまいました。事故? 寝たきり? ……彼は私の隣で楽しそうに笑っています。あまりにも現実とかけ離れたメッセージに、私は思わずあぜんとしてしまいました。
おそらく彼女は、私が到着する前に地元で彼を見かけ、私が一緒にいないと思い込んだのでしょう。私に不安をあおるメッセージを送り、その隙に彼へ近づこうとしていたのかもしれません。
私は彼にスマホの画面を見せました。彼も「はあ!?」とあぜん。友人たちも事情を知ると、驚いたように顔を見合わせていて……。私はすぐさま、彼女にこう返信しました。
「それは変ですね?」
「本人は今、私の隣でぴんぴんしています」
そう送ったとたん、彼女からのメッセージはピタリと途絶えました。
同級生に確認した結果
警察や弁護士への相談も考えましたが、まずは証拠としてメッセージを保存することにしました。そのうえで、彼がその場にいた友人たちに事情を話し、彼女の家族に取り次いでもらえないか相談しました。
そして、彼女のご両親に事情を説明し、本人に連絡をやめるよう伝えてもらうことになりました。あわせて、これ以上続くようであれば警察や弁護士に相談するつもりだとも伝えました。
それにしても、彼女はなぜそこまで彼に執着したのでしょう……。彼が友人たちに話を聞いたところ、当時の作文が文集に載っていたことを覚えている人がいて、彼女が言っていた「小学生のときの作文」について、思いがけない事実が判明しました。
後日、彼が実家に残っていた小学校時代の文集を確認したところ、作文のテーマは「頑張る人」で、花壇の世話を一生懸命にしていた彼女を褒める内容だったことがわかりました。
当時、クラスであまり目立つタイプではなかった彼女にとって、彼が自分のことを作文に書いてくれたことは、強く印象に残る出来事だったのかもしれません。
しかし、「大きくなったら結婚しようね」と言い合っていたというのは、どこから来たのでしょう。そんな約束をするほど親しくしていたのなら、彼の記憶に少しくらい残っていてもよさそう……。
彼は「そんなことあったっけ……」と友人たちに聞いていましたが、全員がそんな記憶はないと言っていました。
勘違いから始まった恋の結末
彼女のご両親に連絡して以降、彼女から私のSNSにメッセージが届くことは一切なくなりました。風の便りによると、彼女は家族とも話し合い、今は落ち着いて仕事に通っているそうです。
それから数カ月後、私たちは予定通り無事に結婚式を挙げることができ、今は穏やかな日々を過ごしています。
義実家は、彼が大学生のころに引っ越しをしており、彼が高校生まで過ごしていた地域にはもう住んでいません。今後、彼女が住む地域に私たちが行く予定はなく、偶然会う可能性も低いでしょう。念のため、彼女に知られていたSNSアカウントは削除し、新しいアカウントも非公開にしました。
これからは彼と2人、夫婦としてお互いを支え合って平和に暮らしていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
長年の思い込みがエスカレートしてしまった結果、不可解な行動に出てしまった女性。相手の言葉や行動を自分に都合よく解釈し続けると、いつしか現実が見えなくなってしまうものなのかもしれません。
他人の気持ちを勝手に決めつけるのではなく、相手の意思を尊重し、適切な距離感を保つことが大切です。思い込みで突っ走るのではなく、冷静に相手の言葉や状況を受け止める姿勢を忘れないようにしたいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。