生理痛は「ズル休み」!?
職業訓練校に通い始めたのは、私が30代半ばに差しかかるころでした。受講生は私と同世代の方からアラフィフくらいの方まで幅広く、事務系の講座だったこともあってか、女性のほうが多めでした。教室全体も和気あいあいとした雰囲気でした。
ただ、その空気とは対照的に、学校の規則はかなり厳しいものでした。中でも入校説明会で、女性講師が壇上から伝えたルールには、疑問の声が多く上がっていました。
「体調不良で欠席する場合、医師の診察を受けたことがわかる病院のレシートがなければ、正当な欠席とは認めません。無断欠席やズル休みと同じ扱いになります」
職業訓練校には、失業保険など何らかの公的支援を受けながら通っている方も少なくありません。正式な欠席として扱われないことは、そうした支援に影響する可能性があるということでもありました。
生理痛や一過性のめまいのように、安静にしていれば治まるかもしれないものの、その日は動けないこともあります。そうした場合まで「ズル休み」と見なされることに、私を含め、理不尽さを感じていた人は多かったと思います。
規則を盾にする女性講師
入校して間もないある日、説明会のときにそのルールへの不安を強く口にしていた女性が、生理痛で欠席しました。本人いわく「病院まで行けるなら学校に来ている」と思うほどつらかったそうで、かなり大変な状態だったのだと思います。
ところが翌日、その女性は講師から「はい、昨日は無断欠席ですね」と淡々と告げられました。すると彼女は怒りをあらわにし、廊下に響くほどの声で不当性を訴えました。それでも講師は「ルールはルールですので」と取り合わず、判断は覆りませんでした。
納得できなかった彼女は、私たちが通っていた職業訓練校を運営する事務局に直接抗議しに行き、最終的には病欠として認められたそうです。ただし、その際に「2度目はない」とも伝えられたと聞きました。
彼女が「生理は毎月来るのに、どうしよう」と不安を口にするのを聞き、私も他人事ではいられませんでした。私自身、生理中に体調を崩しやすい体質だったからです。
ぐうの音も出させない一手
そこで私は、入校時に配られたしおりや規則を改めて読み返しました。すると欠席に関する条項の中に「医師の診断書がある場合は、診断書の内容を優先する」という一文を見つけたのです。
その日の授業の帰り、私は通っていた婦人科へ行き、事情を説明しました。そこで、以前から診断を受けていた「月経困難症」について、診断書を発行してもらいました。
翌日、その診断書を持って講師室へ行き、女性講師にこう確認しました。
「医師の診断書があります。生理の際、その日に病院へ行けないことがあるかもしれませんが、大丈夫でしょうか」
講師は診断書の内容を確認すると、淡々と「確認しました。問題ありません」と答えました。
教室に戻ってその話を先の女性に伝えると、彼女はとても驚き、「今日の帰りに診断書をもらいに行く」と言っていました。そして翌日、彼女も同じように講師から了承を得られたそうです。
後日、彼女はお礼だと言ってお菓子をくれました。そこまでしてくれたことに、あのときどれほど悩み、追い詰められていたのかが伝わってくるようでした。
まとめ
職業訓練校で得たのは、資格や技術だけではありませんでした。数年たった今、あの経験からいちばん強く残っているのは、自分の状況を正しく伝えるには、感情だけでぶつかるのではなく、規則や書類など根拠のある手段を確認することが大切だという学びです。
目の前の対応に納得できなくても、確認できる材料があれば状況は変えられることもあります。この出来事は、社会の中で自分の立場や体調をきちんと伝えるためには、冷静さと根拠の両方が必要なのだと気付かせてくれた大きな経験になりました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている
イラスト:マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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