ママ友の勧誘
子どもが幼稚園に通っていたころ、園で知り合ったママ友に誘われてランチへ行きました。席に着くと、彼女から「今すごく伸びているビジネスがあるの」と話を切り出されました。普段から送迎で顔を合わせる相手だったので、最初は軽い気持ちで話を聞くことに。彼女が話し始めたのは、プログラミングの知識がなくてもアプリやシステムを作れるという、IT系の副業ビジネスの勧誘でした。
「普通の会社員より自由に稼げるよ」
「PCに詳しくなくても簡単だから」
「家にいる時間がある人には、特に向いてると思う」
かなり熱心に説明され、私は相づちを打ちながら聞いていました。ただ、話が進むにつれて少しずつ違和感が出てきました。
「主婦ってPC苦手な人多いでしょ?」
「専業主婦の人ほど、こういうチャンスを知ったほうがいいと思うんだよね」
その言葉に、私は少しモヤッとしてしまいました。「専業主婦だからPCが苦手」なんてことはありませんし、人のライフスタイルや知識量をひと括りにして見下すような言い方に違和感を覚えたのです。どうやら彼女は、私のことも「PCに疎い専業主婦」だと思い込んでいるようでした。
でも実際には、私は在宅で仕事をしていました。夫婦ともに現役のシステムエンジニアで、私の担当は社内システムの設計です。もちろん、園で会うたびに自分の仕事の話をする必要はありませんし、見た目だけで仕事の有無や得意分野はわかりません。だからこそ、何も知らないまま決めつけられているようで、少し残念な気持ちになりました。
その後、彼女はパソコンの画面を見せながら、「これを作れる人、日本にはまだ少ないから」と得意げに説明してくれました。見せてくれたのは、専門知識がなくても操作できる便利なツールでした。ただ、エンジニアの視点からすると「誰でも簡単に稼げる」という彼女の説明には、少し誇張があるようにも感じられました。
彼女の勢いある説明に圧倒されて口を挟むタイミングを逃していましたが、「子どもが幼稚園に行っている間にできるから、時間も作りやすいと思うよ」と言われたとき、私は思い切って口を開きました。これ以上、彼女に時間と労力を使って説明させるのは申し訳ないと思ったからです。
「実は、その時間に在宅で仕事をしているんだ」
彼女は少し驚いたように、「えっ、そうなんだ。お仕事されてたんだ。何のお仕事?」と聞いてきました。そこで私は、「私、エンジニアなの。社内システムの設計を担当しているんだ」と伝えました。すると、彼女の表情が変わりました。
「えっ……そうなんだ……」
さっきまでの勢いが急になくなり、少し気まずそうな空気に。その後は「詳しい人には逆に説明しづらくて」と苦笑いされ、勧誘の話もそこで終わりました。
私は、決してママ友を言い負かしたかったわけではありません。ただ、幼稚園のお付き合いの中でお互いの背景をすべて知っているわけではないからこそ、「主婦だから」「仕事をしていないから」といったステレオタイプで相手を決めつけたり、評価したりするのは失礼なのだと感じました。
幼稚園の保護者同士の関係では、仕事や家庭のことをすべて話すわけではありません。だからこそ、相手の生活や知識量を見た目や雰囲気だけで決めつけるのは失礼なのだと思います。
この出来事のあと、私自身も人と話すときに、相手の背景を勝手に想像しすぎないよう意識するようになりました。必要以上に自分の情報を出さなくても、フラットな目線で落ち着いて接していればいい。そう思えるようになった経験でした。
著者:秋田ねる/30代女性/子どもは5歳で女の子。時短だが会社員。趣味は音楽をきくこと。
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)
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