久しぶりに会える日、テーマパークへ
社会人1年目だったということもあって、私も彼もまだ給料が高いわけではありませんでした。さらに遠距離恋愛ということもあり、会えるのは数カ月に1回。お互いの拠点を行き来しながらでしたが、それでも幸せでした。
そんな中、「今度そっちに行くよ」とAが私の元へ来てくれることになり、行き先として提案されたのが某テーマパークでした。
少し前に私が「某テーマパークへ行きたい」と言っていたことを覚えていてくれたんだとうれしくなり、迷わずOK。久しぶりの再会を楽しみにしていました。
節約志向の彼
そして迎えた当日。開園前から並び待っていると、Aが「はいこれ」と水筒を手渡してきました。「園内の食べ物ってやっぱりいろいろ高いから、〇〇(私)の分も水筒持ってきたよ!」「中身がなくなったら給水スポットでお水を汲めるし、節約になるよ!」と続けました。
この時点では「用意がいいな」「しっかりしていて助かるな」くらいにしか思っていなかったのですが……。
しばらく園内を楽しみ、お昼時になったときのこと。私が「何食べよっか!」と聞くと、Aは「俺はいいかな! 〇〇(私)は好きなもの食べな!」とひと言。そして彼はかばんをゴソゴソ探り、取り出したのはおにぎり。「あ、そういう感じか……」と、私は少し引っ掛かってしまいました。
さらに、私が「ポップコーン食べようかな」と言ったときでした。Aは急に真顔になり、「あれ、原価めちゃくちゃ安いんだよ?」「あの値段はぼったくりでしょ」と、話し始めました。
お金のない私たち。さらに彼が私が暮らしているところまで来てくれたということもあって、節約が大事なのはわかっているつもりでした。けれどせっかく人気テーマパークに来て雰囲気も楽しみたいのに、そんなふうに言わなくても……と、私は複雑な気持ちになってしまいました。
100円ショップのカチューシャを取り出して
そんな中で、より彼に複雑な気持ちを抱くこととなったのは、カチューシャでした。開園直後はアトラクションに必死だったため、お昼過ぎになって「お揃いのカチューシャとかつけない?」と彼に伝えました。
すると彼は、またかばんの中を探り……このテーマパークのキャラクターが印字されているエイリアン風のカチューシャを差し出してきました。それは100円ショップで購入できるもの。そして、「これでよくない?」と彼。
この彼の行動に、私は衝撃を受けてしまいました。このテーマパークのキャラクターがプリントされているとはいえ、テーマパーク以外で売られているカチューシャを身につけるのは抵抗があったからです。彼の「できるだけお金を使いたくない」という気持ちは痛いほどわかるものの、彼の徹底した節約志向に、楽しい気持ちはどんどん薄れて……次第に彼への気持ちが冷めていくのがわかりました。
ほどなく私たちはお別れ。節約は大事ですが、「何にお金を使いたいか」「何を切り詰めるか」の価値観の合致も大事だと感じた交際となりました。あれから数年経ちましたが、彼が今どんな生活をしているのか、気になっています。
著者:水瀬こはく/20代女性・恋愛・ライフスタイル・金融・ITなど幅広いジャンルを執筆するライター。
イラスト:Ru
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)
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