夫はお見舞いに行き、父に借金の相談をしたいとのこと。義父母が作った約500万円の借金を、資産家である父に立て替えてもらえないか? と言うのです。義父母は以前からお金遣いが荒いところがあり、私は少なからず不信感を抱いていました。
病気で寝たきりの父に対し、お見舞いの場で突然お金の無心をするなんて、非常識にもほどがあります。そんな話はしないでほしいと強く止めたものの、夫は自分たちが切羽詰まっていることばかりを主張し、聞く耳を持とうとしませんでした。
最終的にお見舞いには連れて行かないと突き放すことで、夫はその場では渋々引き下がったように見えました。
破られた約束と信じがたい暴言
しかしお見舞い当日、夫は私の制止を無視して勝手に病院まで押しかけ、あろうことか義父母まで呼び寄せていたのです。私が席を少し外した隙に彼らは病床の父を取り囲んでおり、寄ってたかって借金の肩代わりを迫る異常な光景に、私は言葉を失いました。
当然ながら、事情も分からない借金の申し出に対し、父は援助を断りました。すると夫は、助けてくれない父に対して冷酷な言葉をぶつけてきたのです。
相手がどれほど困っていても、お金を出さない人間は義理の親として恥ずかしいなどと吐き捨てる夫の姿は、これまで見たことがないものでした。
堪忍袋の緒が切れた瞬間
自分たちの非常識な振る舞いを棚に上げ、父を侮辱し続ける夫に、私の限界が訪れました。このままでは、父は静かに療養することもできません。私は夫に対し、はっきりと線を引く決意を固めました。
「そんなに気に食わないなら、私と離婚したらいいでしょ」その言葉に夫は逆上。病室で騒がれては困るため、私は彼らを病院のロビーへ連れ出しました。
そこで夫は「お前の親が死んでも葬式には出ない!」「すぐに離婚届にサインしてやるから、いつでも出せ!」と怒鳴り散らします。
実は私は、以前から義父母の金銭問題で夫に不信感を抱き、念のため記入済みの離婚届を持ち歩いていました。それを取り出し、私は迷わず突きつけたのです。
夫は感情に任せて乱暴にサインを書き殴り、そのまま義父母と去っていきました。私はそれを冷静に受け取り、大切に保管しました。自分のおこないを後悔する素振りなど一切見せない夫の態度に、私たちの夫婦としての関係はここで完全に終わったのだと確信したのです。
冷酷すぎる夫の本性
それから数日後、父の容態が急変し、医師から覚悟を決めるよう告げられました。私は病院に泊まり込み、不眠不休で付き添っていました。
そんな極限状態の中、夫から電話がかかってきます。私が不在のため、自分の食事がコンビニ弁当ばかりだ、洗濯物もたまっていると文句を言う内容です。
電話口で父が危篤状態であることを伝えても、夫は「金も貸してくれない他人のことなど知らない」と言い放ち、一方的に通話を切りました。人の命が消えようとしているときに、これほど残酷になれるのか——私は夫の冷酷な本性を痛感し、これ以上一切関わらないと固く決意しました。
父が他界しても、夫は宣言通り葬儀を欠席。翌日、私は一人で役所へ向かい、預かっていた離婚届を提出しました。
浮かれた夫が地獄へ…
父の葬儀からしばらくして、夫から連絡が入りました。親戚の誰かから、私が遺産を相続することになると聞きつけたようです。
「うちの両親の借金払っても余裕だろ。家でも買うか?」浮かれた様子で当然のように自分も恩恵を受けられると思っている夫に、私は静かに現実を突きつけました。
「もう離婚してるし、他人のあなたには関係ないよ」
急いで電話をかけてきた夫は信じられないと慌てふためき、「勢いで書いた離婚届を本当に出したのか!」と怒鳴ってきました。慰謝料をよこせ、借金を払えと理不尽な要求を繰り返していましたが、私が冷静にあしらうと、今度は「あの時は必死だったんだ、再婚して一緒に遺産で幸せになろう」と手のひらを返してすがりついてきたのです。
「私はあなたたちの財布じゃない。自分達の借金は自分達で何とかしてね」とだけ言い残し、私は一方的に電話を切りました。
夫の末路
その後、私はすぐに夫の連絡先をブロック。相続手続きなどが落ち着いてから実家を整理・売却し、その資金をもとに、夫の生活圏から遠く離れた新しい街へ引っ越しました。
共通の知人から風の噂で聞いたところによると、夫は義父母と同居しているようで、相変わらずお金遣いの荒い義父母が次々と借金を増やすため、夫もその返済に追われ続けているそうです。
人の親の財産を当てにする前に、自分の親としっかり向き合うべきだったのでしょう。私にはもう関係のないことですが、必要以上に関わらないと決めたことで、静かで穏やかな日常を取り戻せたことに心から安堵しています。
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家族だから、配偶者の親だからといって、他人の財産を自分の財布のように考える相手と、まともな信頼関係など築けるはずがありませんね。
そもそも遺産は、故人が残された家族のために遺した大切なものであり、他人の不始末を拭うためにアテにしていい都合の良いお金ではないのです。「自分の尻拭いは自分でする」。まずは、大人としてその当たり前の責任を果たしてもらいたいものですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。