「兄貴はやめとけ」婚約者の前で始まった侮辱
就職後、両親から「結婚するまでは実家にいろ。これまでお前にかけてきたお金を返すのは当然だ」と言われた私は、その言葉を疑うことなく受け入れ、言われるがまま毎月20万円ものお金を家に入れていました。
ある日、職場で出会った最愛の女性(現在の妻)を、婚約者として家族に紹介することになりました。彼女は私と同じ会社で働く同僚で、不器用ながらも真面目に仕事に取り組む私の姿を一番近くで見て、評価してくれた人です。
緊張しながら家族に彼女を紹介しましたが、和やかな時間はすぐに終わりました。
弟は彼女を見るなり鼻で笑い、「こんな無能な兄貴、やめといたほうがいいっすよ」とマウントを取り始めたのです。さらに両親までもが、「そうそう。こいつは毎月20万円しか家に入れていない甲斐性なしでね。結婚なんてとんでもない」と、彼女の前で私を徹底的に貶め始めました。
あとになって気づいたことですが、両親にとって、私は都合のいい“金づる”になっていました。私が家を出て、毎月20万円の収入源がなくなることを恐れ、彼女が私に愛想を尽かすようなことを言っていたのです。私はいつものように何も言い返せず、ただ俯くことしかできませんでした。
「あなたは何も悪くない」彼女のひと言で決意
すると、それまでにこやかに話を聞いていた彼女の態度が急変しました。「毎月20万円も実家に入れているのに、無能とは何事ですか?」
冷ややかな声がリビングに響きました。彼女は両親と弟をまっすぐに見据え、こう続けたのです。「彼は会社で誰よりも努力し、大きなプロジェクトを任されるほど評価されています。それに、実家暮らしとはいえ、毎月20万円も家計に入れている社会人がどれだけいるとお思いですか? 彼の稼ぎに依存しておきながら、彼を貶めるなんて異常です」
同僚である彼女の口から語られる“私の本当の評価”に、家族は言葉を失いました。そして彼女は私のほうを向き、やさしく、しかし力強く言ってくれました。
「あなたは何も悪くない。おかしいのは、あなたの家族のほうよ」
その瞬間、私の中で長年かけられていた「お前はダメなやつだ」という洗脳が、パチンと解けたような気がしました。そして、彼女を失いたくないという思いから、「これからは彼女と生きていく。もう連絡はしないで」と宣言。必要なものだけをまとめ、彼女とともに実家を後にしました。
月20万円を失った家族の自業自得な末路
その後、私が毎月渡していた20万円がなくなった実家は、たちまち家計が火の車になったそうです。両親は慌てて、優秀だと信じていた弟にすがろうとしましたが、そこで衝撃の事実が発覚。なんと、転職活動中だった弟は次の仕事がなかなか決まらず、無職の状態だったのです。実際は、優秀なふりをして見栄を張っていただけだったのでした。
頼みの綱だった私に逃げられ、見栄っ張りの弟を抱えることになった両親。今では「お前の育て方が悪い」「お前が兄貴を追い出したせいだ」と、毎日のように責任のなすりつけ合いをし、家庭は崩壊状態だと親戚から聞きました。
一方の私は、あのとき私を救い出してくれたやさしい妻と無事に結婚。これまでの束縛から解放され、自分たちのために使えるお金も増え、心から安心できる幸せな家庭を築いています。
◇ ◇ ◇
たとえ家族であっても、人格を否定する言葉を繰り返したり、お金を理由に相手を縛りつけたりすることは許されません。長年否定され続けると、「自分が悪い」「従うしかない」と思い込んでしまうこともあるでしょう。
そんなとき、信頼できる人の言葉が、これまでの生き方を変えるきっかけになることもあります。もし身近に頼れる人がいない場合でも、苦しい状況をひとりで抱え込む必要はありません。周囲の人や専門機関に相談しながら、自分が安心して過ごせる環境を選んでいきたいですね。
【取材時期:2026年5月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。