私には、離婚後に再就職で苦労していた妹がいます。決して仲の良い姉妹ではありませんが、両親を安心させようと、私は夫に「雇ってもらうことはできないか?」と相談を持ちかけたのです。
義母の計らいもあり、妹は夫の会社で働くことになりました。夫は、妹のことを「気の利く子だ」と何度も口にしており、紹介をした手前、ほっとしていました。
一方で、義母に対しては「邪魔だ」「いつまでも大きな顔をされると困る」と不満を漏らすように……。私は、会社を作り上げた義母から学ぶことは多いはずだと伝えましたが、夫は、私が義母の肩を持っていると感じたようでした。
夫婦として夫を大切に思っていることと、会社の判断を冷静に見ることは別です。それでも夫には、私の言葉に責められているように感じていたのでしょう。
「家のことだけやってろ」と言われて
ある日、夫は会社のことでかなり苛立っている様子。私は、業績が落ちているという話を元同僚から聞いていたこともあり、義母に相談してみてはどうかと伝えました。
すると夫は、私がもう会社を辞めた立場であることを持ち出し、仕事に口を出すなと大きな声を出しました。
今や私よりも、妹のほうが自分を理解してくれると夫は言い、最後には「家のことだけやってろ」と冷たく言われました。
夫を支えたいと思っているのは誰よりも私だったはずなのに、私の言葉はもう夫には届いていないのだと感じたのです。
義母からの電話
数日後、義母から突然、怒った様子で連絡がありました。義母がわが家に電話をしたところ、私の声でひどい言葉を言われて一方的に切られたそう……。
その後、自宅の電話に何度かけても出なかったので、私にLINEを送ってきたとのことでした。
その日私は朝から外出しており、夫も仕事に出ていたため、家には誰もいないはず。しかし義母が電話番号を確認すると、間違いなくわが家にかけていたといいます。
なんだか心配になった私は、予定をキャンセルし、急いで家に帰ることにしました。
防犯カメラに映っていたのは
家に戻ったものの、誰もいません。心配だった私は、滅多に見ることのない防犯カメラを確認することにしました。もはや設置していることさえ忘れていたカメラでしたが、今になって役立つとは思ってもみませんでした。
するとそこに映っていたのは、夫から渡されたであろう合鍵を使い、わが家に入っていく妹の姿。妹はそのまま家に入り、タイミングよく鳴った義母からの電話に出たのでしょう。
私と妹の声はそっくりで、電話ともなると親さえも間違えるほど……。義母が私と勘違いするのも無理はありません。
私は夫に連絡し、妹が今日会社にいるかを確認しました。夫は最初、ずっと一緒に仕事をしていたと答えましたが、防犯カメラのことを伝えるとしどろもどろ……。
実は、会社で夫と妹の間に怪しい噂が出ていることを、私は元同僚から聞いていました。点と点が繋がり確信に変わった私は、これ以上ごまかさないでほしいと夫に突きつけたのです。
最低な夫
観念した夫は、妹と不倫関係にあったこと、私がいないときに妹を家へ入れていたことを認めました。その上で、私が義母の肩ばかり持つからこうなったのだと責任を押しつけてきたのです。
その言葉を聞いて、私はもう夫婦として支え続けることはできないと思いました。夫がしたことは、夫婦の信頼を壊しただけではありません。会社の社員と関係を持ったことも、家の鍵を私に無断で他人に貸したことも、私には受け入れられません。
続いて妹にも連絡をとると、最初はしらばっくれていましたが、防犯カメラの映像を送ると、妹は本性を現しました。
電話のディスプレイに表示された義母の名前を見て、私になりすます絶好の機会だと迷わず電話に出たとのこと。「お姉ちゃんが会長(義母)から嫌われれば、離婚になるかなと思った」と、妹は悪びれずに言ったのです。
夫と妹、ふたりから裏切られるとは思ってもみませんでした。私は迷わず夫に離婚を告げたのでした。
社長という立場も、夫婦関係も失った夫
その後、義母も交えて話し合いがおこなわれました。夫は社長という肩書きこそありましたが、会社の経営において義母の権限は依然として大きく、最近の業績や社員からの不信感も問題視されていたようです。
不倫だけで社長職がどうなるか、単純に決まる話ではありません。ただ、社員である妹との不適切な関係、会社や家庭を巻き込んだ言動、経営面での不安が重なり、夫は社長職を退く方向で整理されました。
また、私も夫と妹に対する慰謝料について専門家に相談しながら進めることにしました。
一方で、義母とは今も連絡を取り合っています。義母は、私が会社にいたころから変わらず、厳しいけれど筋の通った人です。今回のことで、夫の母である前に、ひとりの経営者として現実を見ていたのだと思います。
私自身も、少しずつ落ち着きを取り戻しています。夫を支えようとしていた時間まで否定するつもりはありません。ただ、信頼を壊されたときに、自分を守るための線引きは必要だったのだと、今は思っています。
◇ ◇ ◇
耳の痛いアドバイスほど、実は自分を守ってくれる言葉だったりします。夫にとって義母の指摘は厳しいものだったかもしれませんが、会社や社員を思うからこその助言でもあったはず。それを受け止めず、都合のいい言葉だけに流されてしまったことが、結果的に自分の立場を苦しくしたのでしょう。
近くで支えてくれる人の存在は、当たり前ではありません。厳しい言葉の奥にある思いやりや、そばで見守ってくれる人のありがたさに気付き、大切にしていきたいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。※AI生成画像を使用しています